ただいまビルボードライブ大阪の公演からの東京の戻りの新幹線でお届けしております。今日は名古屋公演!そしてついに19日に迫るのはOPRCTの一番最初公演です。 おかげさまで満員御礼をいただきました。新しいことがたくさんで、準備に慌てふためいてはいますが、それと同時にかなりワクワクしています。
前回はOPRCTがなぜ創設されたのかについて、ブログを書きました。
前回に引き続きBIGYUKIさんとOPRCTのこけら落としでご一緒することになった理由をオープンギリギリの本日公開。Yukiさんへの依頼には様々な意図がありました。
BIGYUKIを知ったきっかけ
遡ること、2011年。創業から3年目に差し掛かっていたころ、レーベルのレコーディング処女作SOUL OVER THE RACEシリーズの第二弾を手がけていた頃です。当時プロデュースで関わってくださった中村あきらさんと一緒にアルバムを作っていた時のメンバーの候補としてBIGYUKIさんのお名前が挙がっていました。中村あきらさんへの僕のリスペクトはご存知だと思いますが、今も変わらず本当に素晴らしいアーティストだとおもっております。
その中村あきらさんがプロジェクトで一番興奮して一緒にやりたいメンバーであり、Talib KweliとかBilalと一緒にやっている、すげーやつがいる!という話を聞いていました。その時は残念ながらご一緒できなかったのですがその後も彼の名前をなんども聞くことになるのです。
その後も出てくるBIGYUKIの名前
Nao YoshiokaのRisingというメジャーデビューアルバムで、2014-2015年はよくアメリカに行く機会がありました。Gordon ChambersプロデュースによるDreamsやRiseのレコーディングはブルックリンのHighbreedmusic Studioというかなりアンダーグラウンドなスタジオでのレコーディング。エンジニアやスタッフが僕たちが日本人ということで、BIGYUKIを知ってるか?あいつはマジでやばい。という話をしたことを覚えています。
その時初めて、検索をしてお顔を拝見したのですが、ピンクのヘアーのプロフィール写真。ビジュアルに対してもしっかりと考えがあるアーティストなんだなーとビジュアルで認知をしました。
その後日本に来日するニューヨークのミュージシャンたちと出会うたびに、BIGYUKIさんの名前を聞くことになります。
2016年はブルーノートが彼を招聘。流石のブルーノートさん。かなり話題にすでになっていたのですが、Naoのツアー真っ只中。
一体どんだけすごいのか?
とても興味があったころに、ちょうどNaoが彼のライブを垣間見ることになります。モントルージャズフェス2017。僕は行けなかったのですが、Naoが「とんでもないものを見た。」という連絡をくれました。その後Reaching for Chironがリリースされます。
もちろんチェックしました。唯一無二。完全にノックアウト。様々な音楽性を絶妙に融合させ、ご自身のプレーでも魅せる自由な表現力に心酔しました。
その当時、2017年のOPRCTはこんな状態。
こけら落としのアーティスト誰にしようかなーという話もちらほら出てきた頃でした。
信頼するレーベルマネージャーからも、BIGYUKIの名前が候補があがりました。
OPRCTとのコンセプトの共鳴
そして今や世界中で活躍をするアーティスト。国境を超えて、活動し音楽では人種の垣根を常に越えている。加えて彼はジャンルという意味でも、クラシックやJAZZといったアフリカンアメリカンミュージックを分け隔てなく新しい感性で垣根をなくしているのです。
ニューヨークで直接依頼
去年の2018年2月のグラミーを訪れた際に、YukiさんのニューヨークはNubluでのアルバムリリースパーティに参加させていただきました。この時点ですでに依頼を心に決めていたのですが、やはりライブをこの目で見て確認したいと思ったのです。Yukiさんのライブの数日前にはロバート・グラスパーが講演するなど厳選されたアーティストにしか許さないニューヨークのNubluで公演。
噂には聞いていたのですが、ここまでのレベルとは・・ショーを見た時の衝撃は忘れることができません。僕の数年間で見たアーティストの中で最大に印象に残りました。
その後にお時間をいただき、ニューヨークで直接ご依頼しました。
BIGYUKIが日本にもたらすもの
日本から世界へ。そして世界から日本へ。
ビルボード大阪さんと名古屋ブルーノートさんに心から感謝いたします。
SWEET SOUL RECORDSの進化
そして、、Anna Wiseも本当に素晴らしいパフォーマンス。
※クリックで写真をスライドしていただけます。
www.oprct.com
OPRCTとはなんなのか?
構想15年のアイデア、10年の準備を経て
ライブのベニューを創る他に、アーティストが世界から来たら、その人たちがひょこっといるようなカフェとか、レコーディングスタジオとか。
そして感覚としては自分たちの基地というイメージや、新しい音楽の発信地みたいなイメージがありました。
創業時から変わらない想いアーティスト・クリエイターの活躍する場づくり
日本にはリアルミュージックのシーンがない
正確に言えば、シーンと呼べるほどマーケットがない。これが正しい言い方なのかもしれません。
それでは僕たちは音楽で何ができるのか?
だとおもいます。
前者はMake the Change Projectという形で、Nao Yoshiokaの登場によって実現しました。
そして今度は、OPRCTで後者を実現していきます。
新しいアートのエコシステムの創造
このブログのタイトルでもあるSPREAD REAL MUSIC。音楽中心に記事を書いてきました。
僕らの音楽のシーンがないという話は、大きな意味でのアートのほんの一部と考えると、音楽だけで考えるのはまだまだ氷山の一角であり、それは音楽以外の芸術でも多く起こっていることが現状ではないかと思います。
OPRCTは一部音楽に特化したスペースもありますが、僕がこのビルに設けたのは、大きな意味でのアートのエコシステムを想像しました。
OPRCTが根源にもつコンセプトはアートのエコシステム。
僕たちはスタジオを利用してくれる多くの法人のみなさま、そして音楽コンテンツを購買したり、ライブに来てくださるファン、つまり消費者のみなさま、素晴らしい音楽を僕らにライセンスをさせてくれたり、一緒に制作活動をしてくれるアーティスト達とそれぞれ事業をしてきました。
このビルでも同様に、法人の皆様が利用し、消費者の皆さんがライブやイベントに集まり、アーティストたちが素晴らしい表現をする。この3者たちが一体になり一緒に空間をプロデュースします。
このOPRCTで様々なイベントが開催されていきます。
最初はなかなかスムーズにはいかないかもしれませんが、素晴らしいアートを消費者のみなさまに届けるべく、そしてアーティストが最高に輝き、才能が一番伸びる環境を提供できるようにするためこれからの日々を過ごそうと思います。
そしてその第一歩がついに幕を開けます。一世一代の大きな挑戦がこれから新たに始まろうとしています。
1月19日はBIGYUKIさんを迎えた、オープニングイベント。
さらには音楽だけにとどまらず、視覚的なアートとして別の階でACT LOCALLY VOL.1が開催されます。
2019年1月19日(土)、代々木上原のクリエイターズスタジオ「OPRCT(オプレクト)」オープンにあわせて、 代々木上原在住のイラストレーターとフードカルチャーが大集結!スペシャルイベントを同時開催! 代々木上原のコンテンツをキュレーションしたローカルイベント『ACT LOCALLY Vol.1』 • 開催日:2019年1月19日(土) • 場所:OPRCT (東京都渋谷区上原1丁目29-10) • 時間:12:00~21:00 • 代々木上原を観る:代々木上原在住イラストレーター5人による展示・販売 (オートモアイ、塩川いづみ、白根ゆたんぽ、たなかみさき、長場雄) • 代々木上原を食べる:36.5°C kitchen、PADDLERS COFFEE ▼詳しくわこちら http://www.act-locally.com/topics/act_locally_event_1/
ぜひこぞってご参加ください!当日は僕も勿論ライブスペースとこのイベントスペースをうろうろしていると思います。お会いできることを楽しみにしております!
それではこれからのSPREAD REAL MUSIC!
ついに3/7水曜日に大阪で初公演を控えるNao YoshiokaのDeparture Liveに関連して、
前回に引き続き、Nao Yoshioka Departure 旅立ちの理由について。
前回の記事はこちら:
Nao Yoshioka Departure 旅立ちの理由 Vol.1
Nao Yoshioka Departure 旅立ちの理由 Vol.2
アメリカに導かれる
アルバム制作活動とは別にアメリカでの活動は定期的に、意識的に行ってきました。
デビュー前の自主ツアーから始まり、2015年僕たちはThe Lightの全米リリースに成功しました。同年にはSOULTRACKSで新人賞受賞、さらにはBlue Note Jazz Club New Yorkでの公演。
そして、突然のWEBサイトから問い合わせから始まった、2016年のキャピタルジャズフェスティバルへの参加。そしてこのオファーは一度では終わらず、2017年はキャピタルジャズスーパークルーズへのオファーもいただくことができました。
これ以外にも、ブライアン・オーウェンズトのツアーを始めJose JamesやRahsaan Patersonといった素晴らしいアーティストたちのオープニングアクトをしてきました。
僕たちはこうしてデビュー前から毎年必ず、アメリカに趣き、地に足のついた方法でキャリアを着々と重ねることを積み上げてきました。
最初からメディアを大きく使っての、いわゆるメジャー的なやり方は、予算の都合上やりたくてもできませんでしたので、僕たちはこういった方法をとりました。こうした地道な活動が結果につながったことで、今ではこの方法こそが正しいアーティストデベロップメントなのだろうと、理解しています。
旅をするたびに、人々と出会い人脈ができ、定期的な露出で口コミで認知度もひろがっていきました。
その結果が、Maria Matias Musicとの契約に結びつきます。この事務所との契約は、僕らからの提案で始まり、Naoの実績や実力を元に、スムーズに契約という流れになりました。
このブッキングエージェンシーとの契約が渡米の最終決断の大きな要素となりました。でもこの契約はあくまで要素でしかないのです。
Naoの心の成長が整う
Maria Matias Musicとの契約が決まった時に、アメリカ拠点変更をすることになったきっかけは彼女の一言からでした。
「今住んでるアパートのちょうど契約更新があるんですが、次期は更新しないことにしようと思います。」
いつかはアメリカで長期的に挑戦しなければいけないと思っていたのは彼女と同じでしたが、彼女の方からその口火を切るとは思っていなかったのが本音です。実際その言葉に、僕は必然とも感じましたし、嬉しくも寂しい感情に見舞われたことはきっとみなさんと同じでしょう。
自ら変化を起こしていくこと
デビューソングのテーマのごとく、彼女はその重要な決断を自ら下しました。以前ニューヨークに修行に行った時の感情や状態とはきっと遥かに違う、自信と強い意思に裏付けられた言葉なんだと僕は理解しています。
「心の成長」
これが僕がNaoのA&Rとしての最大のテーマ。
以前からブログで書いていますが、芸術のアウトプットは、アーテイストの精神性や心の表情が体現されます。一番最初に書いたThe Lightのライナーノーツをご覧ください。
「THE LIGHT」プロデューサーズライナーノーツ 序章
この5年間、僕がやってきたこと。The Lightは彼女の暗な部分から一筋の光を見つけるという精神的なコンセプトで分かる通り、マイナスからの出発。そしてRisingは自分が光のような存在になって人々を照らせるようにという自分のなりたい姿を目指してつけたコンセプト。
彼女の心の成長に合わせてテーマを作り、成長を垣間見てきました。自分は他の人と比べて何かが足りないと思っていた劣等感をようやく乗り越え、Risingツアーが終わったあたりで、やっと普通の人が持つくらいの自信を手に入れられたように思います。
この二つのアルバム制作はNao Yoshiokaの偏見や心の枷を払うメディテーションのような働きをしました。
Risingから自身の心模様を体現することから、The Truthでは世界に対して感じることへとテーマは少しシフトします。
彼女の大きなレベルアップは、スキルや歌ではなくどれだけハートを磨くことができるか。
心の成長はステージでのパフォーマンスを、劇的に変えていきます。特にThe Truthの制作後、Capital Jazz Festあたりからは顕著に変わってきました。特に忘れられないのは2016年のビルボードライブ東京でのライブ。本人が完全に無敵モードになった特別なライブでした。
ツアーもバンドメンバーに引っ張って頂いていたレベルから、自分が引っ張って行くという意識の変化があり、それに伴って歌のレベルさらに磨かれていきました。アルバム制作やライブ制作といった様々な制作を通してNao Yoshiokaはアーティストとして着々として成長をしてきました。
一連の光景はまるで蛹から蝶に変身するような過程とも言えます。今まさに、蛹からでてきたばかりの蝶。本当に自由に飛び立つための準備が終わった過程だと感じています。
日本の皆さまへの感謝
成長を考えるのであれば、何故最初からアメリカで活動をさせなかったのか?という声が実際あります。
しかし僕は日本での活動は一切後悔をしていません。むしろ彼女の今後のキャリアへのプラスでしかないと考えています。そしてこの場を借りて前もってお伝えしようと思います。
日本のファンの皆さん、そして音楽業界に心から感謝しています。
日本という国でよかった理由。ソウルミュージックがとことん好きな方がいっぱいいました。そういう方がファンの方にも音楽業界の方にもいて、思わぬところでNaoを推薦してくださいました。
正直な話をすると、彼女の初期のレベルではアメリカにすぐには通用できなかったとおもいます。それは歌のレベルということではなく、アーティストとしての心構え、プロダクションをつくるときのノウハウ、ステージ上のプロとしての振る舞い、そう行った部分で日本でなければ手に入らなかった精神性やノウハウがたくさんありました。上述した通り、心の成長の過程で、この日本という国はNaoの成長を優しく見守ってくれたと思います。
YAMAHA MUSIC COMMUNICATIONSの荻野さんの存在、デビュー前からこのプロジェクトに賛同してくださいました。僕は個人的にもいつも背中を押してもらい、感謝しきれません。
そして松田博之さんの存在。彼の才能はNaoのキャリアには欠かせませんでした。Make the Changeという曲はいまでも世界中でプレイされる名曲です。こんな素晴らしいコンポーザーがいるこの国はまだまだ隠れた才能たちがいっぱいいるのでは?とおもいます。
日本にいらっしゃる多くのミュージシャンにも助けられました。実際Naoと僕らSWEET SOUL RECORDSとの出会いは、ミュージシャン主催のジャムセッションで僕らを紹介してくれた中村亮さん。他に名前を挙げきれないほどのサポートをしていただきました。
特にバンドに助けられました。松田さんを始め、海外で音楽を学んだ凄腕ミュージシャンたちの存在です。Fuyuさんは常にアメリカのスタンダードを理解し、Naoの価値を理解して音楽にアプローチしてくれました。Takさんは常にバンドの兄貴的なアプローチでムードをつくってくれました。岳五郎さん、みのるさんはNaoの意思を支え共にクリエイトする楽しさを教えてくれました。Yuhoくん、Mizukiちゃんは常にボーカル視点でNaoを支え、Naoをモチベートしてくれました。Toshさんは最後にバンドのサウンドを完成させてくれました。Jambaは純粋に音楽を楽しむことや、音楽の可能性を広げてくれました。そして隠れたバンドメンバー安藤さんには常にサウンド面とNaoのサポートで音を通して強い絆ができました。バンドメンバーが僕らの作る音楽を理解し、常に一緒に励み応援してくれました。
そして日本という土壌でしっかりと彼女のスタイルや音楽を詰めてきたことはアメリカの公演でもとてもプラスになっているのです。
以前も書いたかもしれないのですが、英語歌うということは歌詞重視と言われる日本ではアドバンテージにはなりません。歌詞に頼らず歌、表現だけでその意図を伝えなければいけない。日本ではある意味インストルメンタルのようなものです。その上でみなさんに感じていただくためにはどうすればいいのかをひたすら考えた日本公演でした。
結果歌詞が別に伝わらなくても音楽というものは非言語で十分伝わるという証明をここ日本でできたのです。
これは英語圏に行った時には反応が何倍にもなるということを実感しています。
まるで高山の厳しい環境で育ったトマトの方が甘いというか、気圧の低いところでマラソンをしているようなトレーニングだったようにさえ感じるのです。
さらなる成長を目指して
成長というものは時に環境にとても依存をしてしまうと考えています。Naoの歌に対する取り組みや練習量は過去僕が見てきた中で、誰も抜きに出る人はいませんでした。
自分の中を掘っていくことは、ある意味無限でもあるのですが、それと同時にアーティストは外界からの刺激も大切です。いい音楽を聴いていいものを見て、インスピレーションをたくさん受けることが必要です。それを吸って成長は加速するものではないかと僕は思います。
音楽にはボーダーがないとはいえど、僕たちが志す音楽には特徴があり、日本でいうとたまに来る海外アーティストたちの大きな公演か、六本木と青山のレストラン系ベニュー以外には、あまり出会うことができません。
アメリカやヨーロッパでまさにアップカミングというアーティストは国外にはなかなか出てくるスキームもありませんし、近い音楽性を理解してくれるような共に成長できる存在が日本はアメリカに比べ少ないのです。
日本のマーケットではできることを音楽的にはすべてやりきったということ。これは納得感があります。僕たちマネージメントとしてはもっともっと彼女に大きい露出をもってこれたのではないだろうかなど反省点はあるのですが、彼女の音楽性の成長にはこのタイミングで、世界に集中することがベストだと思っています。
今後日本でも変わらず、様々な公演で皆さんとご一緒したいのは大前提なのですが、節目というか区切りというか、本格的にあっちで勝負をするための心構えとしてのライブをしたいとおもっています。
だからこの渡米前のライブは日本のみなさんに感謝するライブだと僕は考えています。
日本のメディア・店舗の変化
最後にNao Yoshiokaが海外にでなければいけない理由、この音楽性を追求してほしい理由はそれ以外にもあります。
日本ではメディアがもう洋楽をかけることを良しとしていないという流れをみなさんご存知ですか?
今に始まった事ではないことかもしれないのですが、最近は急激にこういった動きが加速しているような気がしています。僕はお付き合いしている局のみなさんからその悲鳴を聞いているからこそみなさんに危機を訴えかけたいと思います。
店舗の洋楽部分の縮小も起こっています。素晴らしいバイヤーさんたちが次々に店舗を去っています。ストリーミングが増えたからといってその雇用は補われていません。レコード会社も国内では合併がありました。CD大国日本と言われつつも、CDの需要は下がり続けると同時に、洋楽というもの自体を扱うことの必要性が問われています。
そんな流れから宣伝をしようにも、メディアでの利用がされないことや店舗での展開をされないこともあり、日本のメジャーレーベルも本当に著名なアーティスト以外は、洋楽を扱うことを徐々に減らしています。
別にソウルミュージックがというわけではなく、洋楽自体をかけるのをやめていることに、みなさん気づいてますか?
それが日本の現在の音楽の流れなのです。人気の問題もあるのかもしれませんが、もともとマイノリティである洋楽。でも確実に洋楽を好きな人々は存在しているが、狭く深くではなく、浅く広くの方向性。
アーティストやミュージシャンの成長にとって必要な音楽の多様性が失われているのです。もちろん国内のレコード会社が生き残りをかけているいま、間接的な収入ではなく、直接的にビジネスにアプローチできるという意味で、そのような流れは当然なのかもしれません。
しかし日本のPOPシーンというのは常に海外の音楽に影響を受けて成長をしてきたことはいうまでもないと思います。どんなアーティストでも影響されているアーティストはいる。その憧れの多くは、海外のアーティストであることはないでしょうか。
目先の収益のために、音楽の多様性が失われることは、アーティストの成長に関わってくる。ストリーミングなどでどんな音楽にもアプローチできるような世の中になった今でも、双方向ではないメディアからの音楽の紹介はシーンに重要な役割であることは変わりません。
Nao Yoshiokaの世界での活躍・成功やコラボレーションが、日本へ新しい音楽の紹介につながると僕は信じています。
すべてはこの後を引き継いでいく音楽人そしてアーティストたちへ
Nao Yoshiokaの真の挑戦がこれから始まろうとしています。
僕が創設したライフサウンドという会社は3月で11期目を迎えました。3月13日でまるまる10周年。10執念ともかけると思います。 26歳から起業をしてからいままで最大の挑戦。この挑戦の舞台に立てる人たちはきっと今僕たち以外に多くはない。
だから責任が伴うことだとも感じますし、次の世代に何が残せるかを真剣に考えています。音楽人たちが世界に行く時にどれだけの軌跡、前例を作れるか。シーンにどれだけ影響を与えられるか、今後出て来る才能たちにどれだけ希望を与えられるか。僕はそんな使命感を感じています。
衰退したマーケットに必要なのはITの技術よりも何よりも、「人」つまりスターの存在です。
様々な仕組みや手法が色々と話されますが、こんな時だからこそアーティストの力を信じて、人に投資をすることが大事なのではないでしょうか。
錦織圭が日本のテニス界を盛り上げたように、きっとNaoの活躍が日本の音楽マーケットの変化に貢献する日が来る。少々大口を叩いてるかもしれませんが、僕はそう信じてこのプロジェクトを進めています。
Naoはこれから海外でさらに磨かれ、才能を伸ばして行く。そして活躍することこそが、世界から見た日本人の価値を上げることができる。そして多くの日本人が世界の基準をみることになるとおもいます。
そんな世界に出る直前のライブ、多くの方に見てもらえたら本当に嬉しいです。特に音楽を志す方に見ていただけることは本望です。
SPREAD REAL MUSICの精神。皆さんにもご理解いただければ、これ以上嬉しいことはありません。
ついに3/7水曜日、そして東京は3/28。みなさんにお会いできることを楽しみにしております。
前回に引き続き、Nao Yoshioka Departure 旅立ちの理由について。
前回の記事はこちら:Nao Yoshioka Departure 旅立ちの理由 Vol.1
The Lightでのデビューからメジャーデビューまで
2013年The Lightのデビュー前、SWEET SOUL RECORDSはNao Yoshiokaと契約をした時点で前述の通り、海外の活躍を視野に入れてデビューをしていました。
日本語も入れるべきという周囲の反対を全部押し切り、わざわざ音楽店舗でも洋楽枠でデビュー。そのこだわりは常に徹底してきました。
国内での反響は予想以上のものでした。The Lightは大変嬉しいことに、インディペンデントレーベルからのリリースにも拘らず予想を上回るヒットで日本でも話題に。
その後トントン拍子で話は進み、いわゆる日本で定番の、「メジャーデビュー」をすることになります。
今の時代、メジャーデビュー自体の価値が希薄になっていますが、SWEET SOUL RECORDSという専門レーベルである僕らがYAMAHAさんとの完全タッグを組んだプロジェクト。
単なるメジャーレーベルからのリリースとは違った意味を感じていました。
インディーからメジャーに引き渡しというよくある構図ではなく、最初からしっかりとキャリア設計をシェアし、マーケティングも一緒に思考を重ねて、本当の意味の協働をすることができたのです。
僕自身、アーティストをこの手でプロデュースし、メジャーデビューをさせることは初体験。
前作The Lightの実績もあり、Risingの初期発注枚数、いわゆるのイニシャルの数字は昨今のCD市場では上々の記録をマーク。
普段全く気にしたことがなかったオリコンチャートなどにも掲載され、様々な著名な夏フェスなどにも呼ばれ、日本的メジャーデビューはそれなりに満喫することができました。
日本というマーケットの限界値
Risingのアルバムリリースのキャンペーンの一通りが終わり、新しい人との出会いや全国ツアーの感動など得るものは大きかったのですが、ビジネスとしての結果は
「やっぱりこんなもんか。。」
という感情に見舞われました。予想の範囲を超えなかったのです。自分の実力不足ももちろんあると思います。
日本というマーケットに、正直少し期待した部分はありました。
ソウルミュージックという規模の小さいマーケットでかつ全編英語。
この音楽だったら敵はいませんでしたし、洋楽タイトルのなかでもメジャーなアーティストにも劣らない数字でした。
日本でこれ以上の規模にするにはきっと音楽以外でアーティスト性とは異なる取り組みをしなければいけない。
ストレートにいうと、規模を広げていくには最大のメディアとの連携が欠かせない。しかしオファーをもらえるようなものは、こちらの意図とは違う方法でのブランディングをされるような企画ばかり。
音楽性を妥協したり、本人のアーティスト性と異なる表現をしたり、ミスブランディングではあるが露出は大きいという、トレードオフに応じなければ、お茶の間には出ていけないということを身にしみて感じました。事実こんな条件をつきつけられるような判断がいくつもありました。
結果的にこういったオファーは本人が目指す方向性とは異なることを許諾しなければいけないということであり、それは世界規模で考えるキャリアの観点からも単純に音楽を志すということでもマイナスにしか感じませんでした。
これを打破するためにはいったいどうすればよかったかなど悩みは尽きず、色々とやってきたことを見つめ直すような時間を費やしました。
塾考した結果、日本のマーケットの限界値という見出しはひとつの要因ではあるけど言い訳なんだなと。
大きな意味で、ものづくりをする人間として、最後にたどり着いたのは
本当にいいものを作ったか?
ということでした。もちろんその時にはその時にできるベストをつくすことは当たり前なのですが、アルバムを作りきった頃には新しいインスピレーションと感性の成長もあり、その判断はよりシビアになりました。
Dreamsを封印した理由
夢にはまだまだ遠い。
Risingの企画時、YAMAHAさんから頂くメジャーデビューという冠。やはりプロデューサーとしてA&RとしてNaoが最大限に好きなことをする大前提で、セールスのことも考えた上での企画・選曲もしなければいけないという頭が少しあったのかもしれません。
もちろん音楽自体は世界基準。作りも楽曲も何の偽りもなく作っています。ただ今考えてみると、日本のマーケットがすこし頭にちらついたと今では反省するポイントかもしれません。
音楽作品も彼女のルーツで持っていてかつ日本のマーケットで受けそうな楽曲をシングルとして選択しました。
実はそれがDreamsです。
Nao Yoshiokaの代表曲であり、わかりやすいタイトルとメッセージ。個人的にとても思い入れの強い曲であり、葛藤の真っ只中にいた自分と向き合うことになった曲です。
わざわざコマーシャルな曲を作ったという意味合いでの葛藤ではなく、プロデューサーとしてのスタンスや自分がどこまで意思を押し通すかといった複雑な感情を抱えた時期でもありました。
プロデュースをしてくれたゴードン・チェンバーズとの考え方の違いやレコーディングでの出来事など、一部はシークレットライブに来てくださった方だけへのご説明になりましたが下記でご覧いただけます。
「RISING」プロデューサーズライナーノーツVOL.4 アメリカでの悪夢その2
ファンの皆さんにはDreamsはとても高評価をいただくことができました。でも僕にとってはしっかりとその時は消化ができていない曲だったのです。
メジャーデビューのRisingリリース後、こんなことばかり考えて猛省し自分に言い聞かせたことがありました。日本で受けた評価は悪くはなかったものの、常に自分が意識をしなければいけないこと。
このアルバムで本当にアメリカに挑めるのか?
日本でのメジャーデビューとはいえど、世界規模で考えれば一拠点でのリリース。企画、録音、楽曲、クオリティをもっともっとブラッシュアップしなければいけない。
夢はまだまだ先の先。
だから本人と相談してDreamsを封印しようと一度心に留めたのです。Nao Yoshiokaの夢はまだまだ序章であり、これから大きな夢を叶えることに集中しよう。だからあえてアメリカではRisingはリリースをすることを断念しました。
僕たちはまだまだできる。もっと成長できる。
ある意味いい教訓でした。このままこのRisingが予想以上に大きくなり、日本でも満足してたかもしれないと思うと、このアルバムのおかげで目を覚まされたというふうに今では考えることができます。
Naoの可能性を伸ばすThe Truth
その流れから完全に方向性を振り直し、The Truthを作りました。
過去の記事をぜひご覧いただければとおもいますがRisingはThe Lightの流れから、Nao Yoshiokaの積み上げてきたこと、やりたかったことをブラッシュアップして制作。
The TruthはMake the ChangeというNaoにとってシングルデビュー時の音楽性を基にNaoから一任されて制作した新しいNaoの可能性を最大限に伸ばして、未知への可能性のアプローチ。
「THE TRUTH」プロデューサーズライナーノーツ VOL.2 THE BEGINNING OF A NEW CHAPTER
結果、The Truthは予想以上にファンの入れ替えが起こったアルバムでした。
とても納得したことが、やはり「ブラックミュージックファン」の方々への理解が割れたことです。それはある意味納得の結果ではありました。
The Truthはコンテンポラリーなアルバムになりました。Nao Yoshiokaをオールドスクールな「ブラックミュージック」という箱に入れたくないという思いがあったのです。そして楽曲のメッセージたちも、レトロスペクティブだったものから、現代に対するアーティストとしてのメッセージに移り変わったことに合わせて選んだ音楽のスタイルでした。
Nao Yoshiokaはソウルシンガーであり、ソウルミュージックを歌う。
ソウルミュージック=ブラックミュージックではありません。ソウル=魂であり、それはライブ会場に来れば、みなさんお分かりでしょう。
僕たちはソウルミュージックのルーツであるアフリカンアメリカンをリスペクトしています。ただそれは過去の憧れであり、真似事をしているのではなく、歴史を理解しスタイルを学び、世界を旅して現地の人と接し、音に国境や人種の垣根を越える力を感じているからこそ、ルーツを超えて新しいものを作りたいと思って作った作品です。
ソウルミュージックに、肌の色は関係ない。スタイルもジャンルも関係ない。新しい世代が持つ感覚で創造される魂の音楽であり、僕は創業当初からそれを理解し自分の嗜好性はもちろんありますが、「SOUL OVER THE RACE」というアルバムタイトルや「WORLD SOUL COLLECTIVE」など世界中のソウルミュージックをコレクトして今まで励んで来ました。
The Truthで表現した世界と音楽とのコネクション
僕たちが旅して気づいた「真実=The Truth」は、とてつもなくポジティブだった。とにかく良いものを作るために、人種も国境も越えて繋がっていくこの感覚を感じたのが写真の瞬間です。
「THE TRUTH」プロデューサーズライナーノーツ VOL.1ボーダレスな感覚
このアルバムでは、今まで評価をしてくれなかった音楽業界の人々や新たなファンの方々が絶賛をしてくれました。スタイルではなく、Nao自身の歌唱力や表現力に着目してくださった方もおり、狙い通り本人の可能性を追求できたことも証明できたのです。
海外も同様に、今まで応援してくれたニューヨークのチーム、メディアそしてロンドンやオランダの関係者からも以前にも増して高い評価を得ることができました。これにより世界を意識したシフトができたことへの成功を確信できたのです。
こうして改めて制作面からの世界へのシフトは着々と行われていたのです。
世界をもっとみて、聞いて、その場で感じて、実際に空気をすって日本にも伝えていきたい。
単純に世界に出て行ってそれで終わりではなく、ここ日本に生まれ日本から始まり、世界で感じた新しい感覚を、世界にも日本にも届けていくこと。
これこそ、ユニークであり探究心をくすぐられる最高にワクワクすることではないだろうかと、強く感じることにもなったのです。
世界は広い。僕たち日本人は、いわゆる日本人に囲まれて生きることが大半ですが、世界に出ると自分たちの良さや世界との違いを肌で感じることができる。固定概念にとらわれず、様々な異なる考え、文化、音楽を見て感じて、進化したスタイルを追求したくなるのです。
次回は最終編、今回のエピソードの締めくくりです。
公演の詳しい情報はこちら。
2009年から一ファンとして、フォローしているHanah Springさんの新譜「Dreamin’」がついに発売です。
この記事を見ていただけば、僕が彼女の音楽をリスペクトしているか、理解していただけると思います。
日本のリアルミュージックシーンにおけるネオソウルシンガーのパイオニア 〜HANAH SPRING〜
http://www.spreadrealmusic.com/column/hanah-spring/
この時代にこの内容でアルバムを制作することの苦労を知ってるからこそ、改めて最大のリスペクトを送りたいと思います。
うまい表現はなかなかできないのですが、僕なりにエールとしてアルバムを紹介できればと思います。
トラック主流のR&Bのシーンの中で、折り紙つきのミュージシャンたちのプレーで聴かせるハンドメイドなバンドサウンド。そしてオンリーワンのアンジェリックな歌声が本作でも最大の魅力です。
Hanahさんはデビュー当時から自身のスタイルが確立されていて、そのアーティスト性と強い個性に僕はとても惹かれましたが、今回も彼女の一本の強い芯がより強固に感じられた本作となりました。
ネオソウルという言葉はもう音楽業界では嫌煙されてしまうようになりましたが、僕が多感だった学生時代の2000年代前後を一斉風靡したあのムーブメントの感動は、いつ思い出しても胸が熱くなります。そんなノスタルジーも感じられる作品です。
そういう観点から行くと、ネオソウルというスタイルをリアルタイムで体でうけとめ、それを昇華できているのは日本では彼女だけなのではないかと僕は思います。90年代に活躍した人々にはきっとつかめなかったこのタイムレスなスタイルをHanahさんは持ち合わせるパイオニアであり、貴重な存在だと僕は感じています。
全11曲の楽曲たち。まずは吉田サトシさんのギター、アレンジが各楽曲で光ります。彼のセンスは完全に世界レベルだとライブに行っても、ソロアルバムを聞いてもそう感じますので、このタッグは本当に楽しみなコラボレーション。そしてクレジットが手元にないのでまちがっていたら大変失礼ですが、オルガンサウンドはきっと宮川純さん。「Diana」と「ほほにキスして」のオルガンはニヤッとしてしまいます。
ドラムはTomoさん、そしてベースはSokusaiさんとNY仕込みの間違いない組み合わせ。Hanahさんのアルバムの共通点としてドラムのサウンドがいつもしっかりしていることは個人的にはとても共感をできるところというか、ドラムサウンドにこだわっていつも制作をしている自分にとっては、たまらないポイントでもあります。最後に収録される「君のいる場所」は松田博之さんもトラックメイキングで参加とのことで、日本のリアルミュージックシーンのファーストコール達のオンパレードです。
全体的にサウンドがなんとなく洋楽仕様というかボトムしっかり、音圧も突っ込みすぎない感じが個人的にはとても◎。ちゃんと声にプレゼンスがあって歌える人にはこういうミックスがいいんだよなーと痛感。コマーシャルな作品とは一線を画す自然派サウンドです。
個人的にお気に入りは、Mabanuaさんが参加している「ほほにキスして」。前作に収録される「好きなキス」と同様に何度も聞きたくなって、頭の中でループでが始まります。このスタイルはHanahさんの真骨頂というか、デビューアルバムの「My Girl」から通づる中毒性のある楽曲にやられてしまいます。
「Thank you! Thank you! Thank you! -English Version」はアップテンポな1曲で澤田かおりとの共作。2014年のEPでのリリースと聴き比べると、よりライブリーな感じなミックスになっていて、ライブに行きたくなります。
アルバムのタイトルトラックでありDreamin’はどんな気持ちで作って、何を秘めているのかを考えさせられる作品。Hanahさんがこの時代を生きるメッセージソングなんだと理解しました。
さてお粗末な紹介はこれくらいにして、3月9日のレコ発ライブ、渋谷のDUOには絶対に参加したいと思います。
3月9日(金)
place : 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
open : 18:45 / start : 19:30 前売り :
¥3,900-(Drink代別) ticket発売中!
http://www.hanahsp.com/schedule
Spotifyでのご紹介になってしまいますが、まだフィジカルが手元にないので、早く店舗にて手に入れたいと思います。
タワーレコードはこちら
冒頭でも書きましたが、この時代にこの内容を創り上げることは並大抵の気持ちで完結することができません。アルバムを一つ仕上げるという作業の大変さがわかるからこそ、そしてシーンを見てきて、シーンの中に今いるからこそ、僕はここで改めて彼女に最大のリスペクトを表したいとおもいます。
いいモノ(オト・人)を見つけた時の気持ちは、それを広めていくというアクションに移しましょう。アーティストが純粋に活動を続けるために、少しでもツイッターの一言でもいいので見える形にしていきましょう。
CDという形で作品を買うという、リスペクトをする一つの方法が失われつつある今、ライブに行ったり、友人にシェアしたり、アーティストの素晴らしさを語って、エールを送りましょう。
こうしてインスピレーションをくれる貴重なアーティストの活躍をこれからも応援するために、僕もできることを行動に移したいと思います。
こんな風に思わせてくれる、Hanahさんに感謝の気持ちを込めて、
アルバム完成、そして発売おめでとうございます。
このブログの書き初めは
「あけましておめでとうございます。」
というメッセージが冒頭に来るはずだったのですが、あっという間に2月になってしまいました。
写真は先週までアメリカにいたので、その時の一枚。どちらかというとLAよりもNY派なのですが、今回はLAでの滞在がとてもよかったので、その時の写真です。
グラミー賞などの報告をまた別に機会を作りたいと思います!
さて年末年始はWONK x The Love Experiment(TLE)の公演に集中をしていました。
SWEET SOUL RECORDSの西井君が手がけた東京とニューヨークをつなぐプロジェクト。
彼のアルバムプロデュースデビュー作であり、全社で力を入れたプロジェクト。
CD、そしてアナログのアルバムリリースに加え招聘での公演も3箇所ということもあり盛りだくさんでした。
プロジェクト進行中は山あり谷あり、今回も一筋縄ではいかず、西井君は大変苦労をしましたが、しっかりとプロジェクトを完結させました。
自分以外のプロデューサーがこういったプロジェクトを発案し、リリースから公演というゴールまで完結できたこと、とても嬉しく思っております。
会場にお越しくださった方、Binaryをご購入いただいた方、ありがとうございます。
WONKさんとTLEがオンステージでも、オフステージでもコミュニケーションを重ね、打ち解けて行くほどに音楽が熟成され変化する瞬間に音楽の意義を強く感じた瞬間でした。
今後のWONKさんそしてThe Love Experimentにご注目ください。
さて、ここからご存知の通り僕の全ての力の矛先は、大阪は3月7日、東京は3月28日に公演を控えるNao Yoshiokaの移住前の単独ラストライブ。
2018年一発目のブログにふさわしい内容だと思います。
Nao Yoshioka Departure
年末の突然のNaoの活動拠点の変更のご報告、みなさんどう感じられましたか?
12月24日のクリスマスライブでのご報告は、大変お恥ずかしい話ですが本人は感極まって涙をするという場面もありましたが、寂しいという気持ち以上にこれから始まるNao Yoshiokaの新しいアメリカのキャリアにワクワクしています。
今までのNaoの成長やキャリアを見たら当然と感じていただけると思ってくださる方も、いらっしゃるとは思うのですが、なぜなのか、少し振り返りたいと思います。
「日本と世界で活躍するアーティスト」という定義
今の時代であれば口にするアーティストの方も増えてきているのかもしれません。
海外で活躍するアーティストたちが増えてきたポジティブな要因もあれば、日本だけで活動することの限界を感じているアーティストも多いのかと思います。
「世界で活躍するアーティスト」
この初期設定が今回の活動拠点変更のある意味全て説明していると言えるかもしれません。デビュー当初から、今回の決定は視野に入っていたのです。
このキャリア設定ですが、言うのは簡単ですが、本気で海外を目指すというのは長期的な視点と経済的にも音楽的にも忍耐が必要なハードルの高いキャリア設定です。
“日本と”と冒頭で表記されているのは、日本人であるから当然として、僕にとって一番興味があり重きを置きたかったのは、”世界で活躍するアーティスト”という部分であり、この世界という意味は近隣のアジア諸国を指すのではなく、世界一の音楽大国、アメリカなのです。
アジアやヨーロッパのツアーに出ている方はたまに見かけますが、アメリカという国はソウルミュージックの本場であり、今の日本にとっては最も困難なマーケットだと言えると思います。
箔をつけるためにアメリカで修行や公演などという文言は今では本当にめずらしくなくなりました。でも実際アメリカに行って差を感じて、改めてその場所で勝負したいと思う人は果たしてどれだけいるのでしょうか。
本気で世界で活躍する
ということをどこまで追求するか。僕たちはそれを一番最初のキャリア設定から、真正面から挑んで行くということを決めていました。
アメリカの魅力と確信
そもそも過去の歴史を見ればNaoは日本でデビュー前から、マクドナルドゴスペルフェスでのファイナリストであり、アマチュアナイト準優勝の実績を持っています。
アメリカを目指していくのは当たり前ではあるのですが、アメリカ最優先という方向性を作る過程にはこんな経緯がありました。
契約当初からアメリカでの活躍に関して、Naoの音楽性に希望を感じていましたが、実は僕が書いた企画書のマーケットの選定には、最初はヨーロッパとアジアを先に攻めるという設定をしていました。
その企画書を見せた時、
「私はアメリカを一番に最初に攻めて、最優先にしたいです。」
と真っ先にNaoに言われたのを覚えています。
僕はアメリカは最強の砦というか、ヨーロッパ、アジアでの活動を初期に最適化した後に行こうと思っていました。
アメリカには慎重に勝負したかったということもありました。
でも彼女の発言でアメリカ最優先で行こうと舵を完全に切りなおしました。
一番強い敵を倒したくなる性分を擽られたというかその発言を聞いて夢が大きく膨らんだような感覚を今も覚えています。
ソウルミュージックが生まれたその国で活躍するということこそ、キャリアの最終地点ではなく、一番近く意識をして最初からタッチして行く。
アメリカでのキャリアを初期から強く望んでいたこと、これは彼女がユニーク且つ素晴しい理由でもあると思います。
アメリカで勝負したいと口に出して言えるアーティストは正直そのタイミングまで会ったことがなかったのですが、僕たちSWEET SOUL RECORDSが待ち望んでいたアーティストの登場でした。
アメリカの魅力は一言には表せませんが、まず最大の魅力はマーケットの大きさ、そして今となって言えるのはシーンのアーティストたちとの交流による本人の成長だと言えると思います。
僕自身が活躍を確信したのは最初のアメリカのツアーに行ったデビューのライブのこの瞬間からです。
この動画は5DのMK3を買ったばかりの僕が見よう見まねで撮った動画であり、偶然にもメディアが取り上げてくれて、日本でもYahooトピックスまで連れて行ってくれたNaoの日本のキャリアを後押しするような作品になりました。
現地ミュージシャンたちのNaoへのリスペクト。オーディエンスのNaoが歌ったときの空気の変わるその感覚。
このタイミングで改めてアメリカでのキャリアを一番に意識をするきっかけにもなりましたが、これに終わらず、アメリカの旅を続ける旅に、この国に導かれるような感覚が何度もあったのです。
次回も引き続き、-Departure 旅立ちの理由-のレコードデビューからメジャーデビューまでお伝えしたいと思います。
公演の詳しい情報はこちら。お楽しみに。
なんと明日はEric Robersonを迎えたNaoのかわさきジャズ2017の公演となりました。
10月のニューヨークからバミューダを往復、
4000人収容の豪華客船上のソウルミュージックフェス、
Capital Jazz Supercruiseについてブログを掲載しています。
今日は最終話。
更新が遅くなってしまいましたので、
前回の記事はこちらから。
蓋を開けてみると毎日ありとあらゆるイベントを見たり参加したりと、
「バミューダの最高のビーチをエンジョイする時間」など
与えられた時間を最大限に活かすため
用意する時間が全く無い事に気付き、
多少のプレッシャーを感じましたが、
僕にとって最高にワクワクするそしてドキドキのイベントが
渾身のキーノートを用意しました。
スティーブ・ジョブズばりにiPadで
画面を自由に操作できるように
入念にチェック。笑
とても嬉しいチャンスでもありました。笑
キーボーディストもアサインして
ホテルのもっとも人が集まるAtriumでできないか?」
アイデアをプレゼンし、念を押します。
トロフィーをNaoに渡してくれたのも彼女でした。
もうすぐ4年という月日が経過しようとしています。
日本のシーンを変えるために不可欠なこと。
こういったイベントにどんどんと参加をして、
Naoだけではなく大きなムーブメントとして
作っていかなければいけないと痛感します。
終わりたくない。という気持ちを抑えて、
ニューヨークからの羽田のフライトへ乗りました。
明日の11月のエリック・ロバーソンとの公演。
船の上でどれだけすごいことが起こっていたか、
できればみなさんに見てもらいたいとおもうのですが、
なかなかブログと映像では伝わらないのが残念です。
作らなければ、本場のシーンで起こっていることを
そのまま日本でみなさんになんとか届けなければいけない
と言う気持ちで組ませていただいたのが、この公演です。
ネオソウルのキングと呼ばれるEric Robersonが
なぜアメリカでそれほどまでに賞賛されるか。
みなさんの目で徳とご覧いただければと思います。
彼のアメリカのバンドとNaoのMDであるDai Miyazaki
そして日本からはMizukiちゃんが参加してが送る
最強チームでの、ライブパフォーマンスをお楽しみに。ちなみに、明日は思考を変えていつも撮影NGにしてましたが、
とにかくこのすごい公演を多くの人に見ていただくために、
OKにすることにしました。他の方や演奏者の妨げにならないように
バンバン撮影して拡散してください。
それでは明日からもSPREAD REAL MUSIC!
タイトル:Nao Yoshioka with Special Guest Eric Roberson
日程:2017年11月18日(土)
時間:OPEN 15:00 / START 16:00
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
リハーサル終了後のクルーズ2日目の深夜には
ロバート・グラスパーとクリセット・ミッチェルの
公演の直後からロバート・グラスパーが
ホストを務めるジャムセッションが開始します。
ジャムセッションがあるのは知っていたのですが、
キャピタルジャズプロダクション側からは、
参加してくれると嬉しいと書面に記載されているだけで、
どうやって参加するかよくわからず、
今日参加したいんだけどどうすればいいの?と事務所に行って
聞くところから始まりました。
「わかった!言っておくね。多分大丈夫」
とスタッフに言われるも、
アメリカの流儀はなんとなく把握をしていることもあり
おそらく自分たちで動かないとだめなんだろうなーと
会場に早めに向かいます。
予想は的中し、Naoが紹介される様子もなく、
グラスパーがセッションを始めるのですが、
明らかに著名なアーティストや、
つながりのあるミュージシャン達が、
ステージ正面からバックステージに入っていきます。
グラスパーが門番のように手招きをし、
バックステージに入れる?みたいな絵です。
みるみるとステージが埋まっていく中、
もちろん僕たちはつながりもありませんでしたので、
あれーこれ参加できんのかね?
という疑問を持ち始めた時に
救世主が現れます。
そうRCが現れNaoをステージに連れていってくれました。
そしてロバート・グラスパーに
Naoのことを紹介してくれたのです。
僕は撮影のセッティングがあったので、
バックステージには行けず、
その様子はMCPの会報誌かシークレットライブにてじっくりと
Naoに説明してもらえばと思います。
ロバートのジャムセッションは
シンガーのセッションというよりは、
ミュージシャン主導のジャムセッションでしたが、
その後ロバートは早いタイミングで、
Naoをバックステージからステージに招待します。
Naoはもちろん実力を発揮し、会場の反応も十分。
歌い終わった後のたくさんのミュージシャン達から
称賛の声をかけられ、
そのひとりであるロバート・グラスパーとも
この時に話すことができました。
結局セッションが終わったのは午前2時半を周り、
就寝は午前3時半でした。
クルーズ3日目、起床してレストランに向かうと、
歩くたびにNaoが声をかけられます。
「昨日のジャムセッション見たわ!もうあなたのファン!」
こんなこともあろうかと、
僕はすかさず、このクルーズのために作っていた
Naoのプロフィール入りのフライヤーを配ります。
その日からこれが何回も続き、
船内を移動するたびに声をかけられました。
そしてついにNaoの公演を迎えます。
エリック・ロバーソン主催のアンダーグラウンドラウンジ。
キャピタルジャズによって厳選された
アーティスト達をエリックが紹介するというイベント。
客船上にあるもっとも大きな会場、
ブレイカウェイシアター。
おそらくキャパシティは二千人くらいでしょうか。
エリックがホストでオープニングが始まり、
他にも3人のアーティストが参加しましたが、
ついにNaoが紹介されます。
「今日は東京からアーティストが来てる、
しかも僕は彼女と東京で11月にショーを一緒にするんだ。」
そしてNaoがステージに。
会場の雰囲気は深夜にもかかわらず、温まっている感じ。
その雰囲気で、Naoは渾身のオリジナルソングを披露します。
最後に歌ったRiseが終わりグッと息を飲んだ瞬間
会場は大喝采に包まれます。
歌い終わるとエリックが靴を片手に持って
Naoに投げる振りをして出て来ます。
僕はいつも通りカメラ片手に
客席側からのその様子を捉えていました。
@djohnishi 本人の許可を取ってないので全編は上げませんが歌い終わった後の割れんばかりの会場の反応とEric Robertsonの「凄すぎ!出てけ!(冗談)」って言うジェスチャーが面白いです。@NAO_WORLDWIDE pic.twitter.com/HP3ybSdWtq
— Kay-Ta (@KayTaMatsuno) 2017年9月28日
この動画はその場に居合わせた、Kay-Taさんという
ミュージシャンがツイッターにあげてくださっていたものも
貼り付けさせていただきました。
そう。会場を完全にロックしたことは言うまでもありません。
大成功。
ちなみに余談ですが、みなさんこの写真で
Naoが裸足なことに気づきましたか?
実は公演中に靴を突然脱いだのです。
靴を脱ぐという行為は、
女性アーティストが本気を出すときに
する行為で、ダイアナ・ロスもレイラ・ハサウェイも
たまにステージで見せるとか。
実のところ、クルーズが直近のハリケーンの影響で
思ったより揺れていて、ヒールのままだと歌えないと
判断して脱いだというのは裏話です。
公演の次の日から歩くたびに声を
かけられることはもちろんなのですが、
クリセット・ミッチェルのバンドメンバー、
カークフランクリンのバンドメンバーなど
ミュージシャン達がNaoの歌を聴いて
続々と声をかけてくれるようになりました。
その中の一人に、インディア・アリーのプロデューサーでもある、
シャノン・サンダースにも声をかけられます。
たまたまリハーサルルームに彼が訪れた時でした。
Naoがたまたま歌っていると、
「君はマネージャーか?あの子は一体誰なんだ?」
というところから始まります。
僕は彼女を紹介し、自分のことも説明すると
「君がSWEET SOUL RECORDSのオーナーか、
やっと会えたな!知人から色々と話を聞いてるんだ!」
と共通の知人の名前が出て、話は盛り上がりました。
ネオソウルが好きな人は一度は耳にする
名プロデューサー。言うなれば自分にとってのヒーローの一人です。
このディスコグラフィーを見れば、
きっとみなさんも納得でしょう。
彼を始め、自分が地球の反対側から
音とクレジットだけで接していた人々に直接出会う毎日。
普通のフェスティバルと違い、
7日間海の上で同じ場所にいますので、
一度ではなく複数回会って、
その度に声を掛け合い関係性は深まっていきます。
こんな濃密な時間を過ごし、
友人になったミュージシャンが参加するショーや
ワークショップを見たり、キャピタルジャズが主宰する
テレビインタビューを受けたり、
ジャムセッションに参加したり、
自分たちのワークショップの準備をしたりと
忙しい毎日が続きます。
そんな忙しいながらも感じたことがあります。
Naoが本当に楽しそうに目をキラキラさせていること
同じ音楽を志す仲間がいる、
ライバルが近くにいる。
そして自分が感動する音楽が身近にある。
さらには世界で活躍するトップスター達の
公演を間近でみることができて、
彼らとも交流ができるという
願っても無いシチュエーションです。
本当はこうあるべきなんだよな。
まだまだある伸び代を、同じシーンのアーティストたちの
姿を身近に見て吸収したり、影響しあって成長させていくこと。
音楽に垣根はないとはいえども、
マーケットの約85%がJPOPの日本で、
そこをなんとかSWEET SOUL RECORDSは
変えるべく動いているとはいえ、
国内で世界基準で音楽を続けることは
生易しいものではありません。
自分たちがやっている
音楽が生まれた本場のアメリカで、
多くのリスナーに素養がある中で
音楽をするということはこんなにも伝わるのか。。
Naoがより多くのアメリカの人々に
知ってもらえる日は予想以上に
近い将来かもしれないと実感します。
僕はいつしか遠征を重ねてこういう反応を見るたびに
日本での公演・活動はある意味
もっともハードルの高い公演なんだなというふうに
考えるようになってきました。
まるで空気の薄い高山地帯で
トレーニングをしているような
感覚にさえ思えるのです。
日本では言語の壁や音楽性の壁などある中で
これだけたくさんの方に応援してもらえるということは
ある意味、とても特別なことなのだと。
そしてファンの方が多様性を受け入れ
歌詞先行の音楽市場で、
純粋にNaoの音楽を楽しんでくれてることは
とても幸せだと感じました。
こうした日本での積み上げがここアメリカの大きな舞台で
高く評価されるようになってきていることは事実であり、
日本でだからこそきめ細かくできた
楽曲アレンジ、ステージの作り方、演出など含め、
日本での活動が活かされていると実感できているのです。
十数枠しかない小さなブッキングのスポットに、
本場のアーティスト達を差し置いてNaoが呼ばれ
評価を受けているということは確かなのです。
成功事例がない中で手探り感を楽しむ。
新しい扉を今までのやり方とは全く違う方法で僕たちは開いていく。
次々に開いていけばいくほど、手応えは増しているのです。
そして今を生きる僕らマネージメント、レーベル業で忘れがちなこと。
アーティストが最高にインスパイアされて成長する環境を与える
なんとかこういう機会をマネージメントとして
増やし、キャリアの可能性を
常に大きく捉え現状に満足しないようにしなければと
痛感したのでした。
次回は旅の終盤、僕らのワークショップについて。
お楽しみに。
Nao Yoshioka with Special Guest Eric Roberson
日程:2017年11月18日(土)
時間:OPEN 15:00 / START 16:00
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
料金:SS席6,000円 / S席5,000円 / A席4,000円 / B席3,000円
出演者:Nao Yoshioka(vo) / Eric Roberson(vo) 他
今回は9月24日からアメリカはニューヨークから出発し、バミューダ諸島を往復。
豪華客船で7日間に渡って開催されるソウルミュージック専門の音楽フェス、
Capital Jazz Presents “The Super Cruise XI”の旅について綴ります。
バミューダ諸島といえば、
バミューダトライアングルという
ミステリースポットで名前は有名ですが、
ニューヨークからはフライトで約一時間の
人口3000人のアイランド。
イギリス領で日本と同じく運転は左側通行の
海に囲まれた美しい街です。
道中の話も交えて話していきますが、
日別の詳細な出来事は
Make the Change Projectメンバーの会報誌で
Naoがじっくりとガイドしますので
僕は純粋に感じたことを残したいと思います。
さて9月はロンドン→オランダと多忙を極める中、
突然のこのオファーでしたので、なんとか予定を再調整し、
この旅を成立させました。
契約をささっとまとめ、ウェブサイトには早々に
Naoの写真が掲載されました。
錚々たる面子の中、
たった一人アジアンのNao Yoshiokaがぽつりと
ウェブサイトに登場します。
改めてみてみるとやはりソウルファンなら唸るこのメンツ。
India Arie、Robert Glasper、Kirk Franklin、Eric Roberson、
そしてGladis Night…
もちろん喜びは止まりません。
喜びもつかの間、オファーが直前だったこともあり
現地での公演情報や船に乗った時の情報が非常に乏しく、
ある程度は知り合いのミュージシャンから聞いたりはあったのですが、
もう乗ってみないとよく分からない。。
という事象がたくさんありました。
そこが旅の一つの醍醐味でもあります。
ニューヨークとバミューダの往復をする
豪華客船Norweigian Breakway号による
7日間の旅がついに開始しました。
予想通り、辺りを見渡す限り99%がアフリカンアメリカン。
アメリカ中の音楽好きの富裕層のブラザーアンドシスターが
集まる旅行といっても過言ではありません。
さすが豪華客船。船というより、
海上を移動するホテルというイメージです。
まずその客船のエレベータに表示された階数は最高16階。
地下というより海下に階数があれば
きっともっとあるのかもしれません。
ホテル内には10以上のレストランにラウンジバーやダイニング。
カジノにジム、フィットネスセンターに
屋外プールやウォータースライダー。
そして公演ができる会場も1000人以上
収容する会場から100人程度のベニューまで、
複数存在します。
旅客定員なんと4000人。そのうちクルーが1500人以上とのこと。
船の価値はなんと700億円。
普段はNorwagian Cruise Lineという
この客船を所有する会社が運営するサービスと
Captal Jazz Productionが提携し
ソウルミュージックオンリーな貸切をするという
アメリカらしい夢のようなイベント。
今回のクルーズでなんと、11回目ということで
運営をしているCapital Jazz Productionに最大のリスペクトです。
僕らが聞かされていたことは、出演する日程と公演内容くらい。
船が出発してから3日目の遅い時間に公演本番。
リハーサルは船上で2日目。
ワークショップは何処かのタイミングでやらなければいけない。
それ以外は何があるか把握することが困難でした。
予定は各客室にこんな形で日毎に配られていきます。
乗客にも出演するアーティストが
どのタイミングで何時に出演するかなどは
知らされてないのです。
日本ではありえないことですよね笑
ある意味、いろんな公演にいって欲しいからという
狙いなのかもしれないと思う仕掛けもあったので
ベストなタイミングを見計らって通知をしているのかもしれません。
そんなこんなで船上での予定が全く組めていなかったのです。
なんとか情報収集をするために
今回エリック・ロバーソンと来日するBVであり、
ソロアーティストでもあるD Mauriceに事前に連絡して聞いてみると、
「ジャムセッションがあるからそれには絶対参加した方がいい。」
と言われました。
(ちなみにD Mauriceは11/21に来日に合わせSWEET SOUL LOUNGEに出演します。)
なんだかざっくりとしていて、
実はあまりやることないのかもしれないなぁと妄想。
船上ですのでネット環境があまり快適ではなく、
日本と取りたくても連絡が取れないので
この感じだったら普段ゆっくりできない分、
もしかしたらよだれが出るような
ソウルのスターたちのの公演を見たり、
バミューダで少し休んだりできるかも!!と楽観視していました。
船に乗ると少しずつ全貌が新たになっていきます。
まずEric RobersonとRobert Glasperのジャムセッションが
合計4回くらいあるとのことでした。
無論、僕とNaoは鼻息荒く全部参加していこう!となります。
船上の一番最初のイベントはリハーサル。
Naoは今回、バンド編成で向かったのではなく
現地のハウスバンドに乗っかることになっていたのですが、
蓋を開けて見るとそのミュージックディレクターは、
SWEET SOUL RECORDSからリリースをしている
アーティストの一人DRE KAYのDeAndre Shaifer
(通称:Dre King)でした。
Dre Kingといえばアメリカの首都中心で活躍する
プロデューサーでありキーボーディストそしてトランペッター。
Black MilkやRaheem DeVaughnの
楽曲のプロデュースをしている、実力派のプロデューサー。
はたしてどれだけ今回のハウスバンドが曲を
さらってきてくれるのか
さらにはどんなアレンジをしてくるのかなど
期待と不安を膨らませスタジオに向かいます。
ドレの活躍は以前から聞いていましたので、
個人的には期待が大きかった。
リハーサル会場は船上の最上階のナイトクラブ。
部屋に入ると一番に目に入るるのが
窓からヒロ柄海と空。
開放感がありとてもテンションが上がります。
まず、僕たちに声をかけて来てくれたのは、
ドラマーのBisscuitとベーシストのChooky。
「あれ?バーチミアでラサーンのオープニングしたよね?」
ということで、よく見てみれば僕たちが震えながら見ていた
バーチミアのラサーンの公演のバンドメンバーが
今回のハウスバンドのメンバーだったということが判明します。
もうその時点でこのバンドは間違い無いんじゃないだろうか?
ということを思うのですが、音を聞いてさらに納得でした。
リハーサルはスムーズに進み、Nao Yoshiokaの楽曲たちは
ワシントンDCのトップミュージシャンによって
正しくパワーアップされます。
僕たちは確実にシーンの一番正しい人たちと音楽ができている
こういった縁は遠征をする度に濃くなり、輪は広がります。
Naoの情報がwebに掲載されて間もないタイミングで、
アメリカ現地のミュージシャンの友人達から連絡が届きました。
「おれもその船乗ってる!あっちで落ち合おうな!」
その一人が今回エリカ・バドゥのMDとして
先日の来日公演にも同行していた
ミュージシャンのRC Willams Juniorです。
彼らが来日をした際に
SWEET SOUL RECORDSからリリースをした
同じダラス出身のQuentin Mooreが
共有の友人にいることが判明し、
それをきっかけに交流が続いていました。
RC & Gritzとしても日本でブルーノート公演をしています。
先日まで日本に滞在し、エリカ・バドゥの
公演をしていたRCとは一緒に時間を過ごす機会があり、
彼の音楽のキャリアや現状、
考え方もじっくりと聞くことができました。
僕たちのような人間にとっては
バイブルのようなあのブロックパーティの
ステージにひょこっと乗っている
RCに気づいたのは昨日のこと笑。
本人から教えてもらって調べたのですがこのムービーです。
そしてセントルイスへ『Rising』の
レコーディングをしに渡航した際に、
空港でばったり出会った、Eric RobersonやD Maurice。
蓋を開けてみれば、
Naoのレコーディングや遠征の旅で繋がった
アーティストやミュージシャン、
そしてSWEET SOUL RECORDSの
付き合いのあるアーティストたちに
溢れたクルーズだったのです。
自分にとっては学生時代にCDで
音を通して付き合ってきたアーティストが、
目の前を通り過ぎたり、直接話をしたり、仕事を一緒にしたり。
レーベルを始めた時に思い描いていた景色が
目の前に広がっていました。
エリックとはbmrに掲載する記事のインタビューをさせてもらったり、
夕食も一緒にすることができました。
Naoのキャリアについてアドバイスをもらったり、
彼のインデペンダントとしてのスタンスや
今考えていること、シーンで感じていることなど
惜しみなく話してくれた特別な時間であり、
自分にとっては忘れられない瞬間です。
こうして僕たちはアメリカのソウルシーンで着実に根を伸ばし、
進歩を実感する旅となったのです。
次回は、初のステージ。
ロバート・グラスパーがホストをする
ジャムセッションの話から始めたいと思います。
タイトル:Nao Yoshioka with Special Guest Eric Roberson
日程:2017年11月18日(土)
時間:OPEN 15:00 / START 16:00
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
出演者:Nao Yoshioka(vo) / Eric Roberson(vo)他
チケットのご予約はこちら
突然のオファーからキャピタルジャズに向かいました。
Naoが海外のアーティストたちに賞賛を受けている。
実は別の案件に集中するため、リハーサルのみの参加になっており、
僕は会場にまだいけてないのですが、
見事に語ってくれていると感じています。
そして僕らSWEET SOULも成長しています。
今はまだ見えていません。
自分の音を奏でるNao Yoshiokaを
お時間がある方は是非明日代官山でご覧ください。
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