キャピタルジャズを終えて Vol.2:ソウルの聖地フィラデルフィアでのリハーサル、そして現地へ

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PhiladelphiaはWorld Cafe Liveにて最終公演を終了し、
このブログ執筆を始めた最終日にはプロモーションや、旅の整理をしています。
最終公演と言っても、2公演しかなかったのですが
ブルックリン→フィラデルフィア→ボルティモア→DC→フィラデルフィア
という移動続きの2週間、なかなかしびれる旅になりました。
このブログを書き終わるのはきっと日本へ飛行機移動をしている途中。
早く皆さんにお伝えしたくてワクワクしております。

まだ第一弾を見ていない方はこちらから。

さて、Capital Jazz Festに関連するリポート第二弾は
リハーサルからライブ当日までの出来事をお伝えしたいと思います。
第三弾で終了となります。

ブルックリンでBVリハーサル

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今回はUSツアーを初めてからの3年の経験を活かし、
念には念を入れて取り組みました。
あえて書きませんが、この3回のリハーサル中にも
なんども予測していたリスクが発生し、
その度に今までの経験になんども助けられたのも事実です。
※これは今度直接お話ができる機会があればぜひ。

まずコーラス達とのリハーサル。
ニューヨークはブルックリンで行われました。
彼女たちがコネチカットに在住しており、
フィラデルフィアにはかなりの距離。
僕たちはフィラデルフィアに入る前に中間地点のニューヨークに入り、
彼らとのリハーサルを最初にすることを選択しました。

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右からコーラスのデニース、そしてドウェイン。
デニースはアリシア・キーズの成長期を支えたBV(バッキングボーカリスト)。
相性を考え、いつもデニースが一緒に現場を共にするパートナーとしてドウェイン。
デニースはソロアーティストとしても活躍していて、
今回、Naoの音楽性とメッセージを気に入ってくれて仕事を引き受けてくれました。
ドウェインは若手でとても心優しい青年です。

リハーサルはブルックリン周辺のスタジオで行われました。

歌のニュアンスの細かいディレクションなどは
Naoが入念にしっかりとBV達に手ほどきをします。
ここは彼女と切り分けがしっかりされており、
安心してリハーサルを終えることができました。

ソウルミュージックの聖地、フィラデルフィアへ

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無事にBV達とリハーサルを終えて、フィラデルフィアへ。
ご存知だとは思いますが、フィラデルフィアは歴史的に
多くのソウルレジェンドを送り出したソウルミュージックのメッカ。
ミュージシャンたちのレベルはアメリカナンバーワンの呼び声も高く、
シーンには凄腕のミュージシャンたちが存在します。

街も音楽に溢れ、毎日どこかしらで音楽が聴くことができる
ベニューがたくさんあり、ミュージシャンたちが日々音を奏でます。
またUniversity of PennsylvaniaやTemple Universityなど
学生も多い活気のある街です。

到着当日はDaiさんのお誘いで、メンバーのコーリーのライブへ。

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やはりミュージシャンのレベルがとにかく高い。
地元で一番流行っているイベントとのことで、ミュージシャンや
音楽ファンに溢れる満員のショーでした。

去年からNaoのアメリカのミュージックディレクターを
つとめてくれているDai Miyazakiさん。

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ボストンで音楽大学を卒業後、
フィラデルフィアに住むようになってもう7年。
以前から名前はいつも聞いていましたが、
2014年ブライアン・オーウェンズと一緒にツアーをした
ショーをきっかけに、出会うことになりました。

アメリカでは彼がミュージックディレクターとして
凄腕のミュージシャンたちを集めバンドをつくってくれています。
Naoの音楽を創ってくれる、本当に頼もしい存在。
今回、忙しいミュージシャンたちの時間を十分にとるため、
Daiさんのいるフィラデルフィアでリハーサルをみっちりすることを選択しました。

実はなかなか良いリハーサルスタジオがなく
私は困っていたのですが、
さすが7年間ものあいだフィリーに住んでるDaiさん、
素晴らしいスタジオを紹介してくれました。

 

伝説のスタジオ”タートルレコーディングスタジオ”

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このタートルレコーディングスタジオは
現地ではかなり有名なスタジオで、
フィラデルフィアの往年のアーティストたちがこぞって使っていたスタジオの一つ。
聞いた話では、今は亡きテディー・ペンダーグラスもここで
レコーディングしていたとか。

最近フィラデルフィアでは音楽業界の低迷によるレコーディング需要の減少や
コンドミニアムの開発でいわゆる昔からあるようなレコーディングスタジオは
どんどんと減ってしまっているようです。
シグマという有名なスタジオも、もうなくなってしまったとのこと。

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そんななか生き残っている伝説的なこのスタジオは
入った瞬間に、ゴールドディスクが飾ってあり、
スタジオ内も素晴らしい雰囲気と、年季の入った機材たち、
歴代のアーティストたちがここで魂を込めた軌跡を
ひしひしと感じることができるパワフルなスタジオでした。
ミュージシャン、アーティスト達が心地よく音楽を奏でられる最高の空間。

思い返せばフィラデルフィアはUSTourで一番最初に訪れた街。
必然的に呼び寄せられているのかもしれません。

そんな思い入れの強いフィラデルフィアでの気合の入ったリハーサル。
バンドの要となるベーシストとドラマーを始め、半分以上は初めてのメンバー。
リハーサルの出来次第で本番当日のクオリティが大きく左右されます。

超精鋭のミュージシャンたちを紹介しましょう。

おなじみNaoのUSのミュージックディレクターをしてくれている
Daiさん(タイ・トリベット、ローリン・ヒル、ルダクリスなどなど)

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コーリー(マーシャ・アンブローシス、スナーキーパピー、アリアナ・グランデなどなど)
彼はKilliam Shakespeareというバンドをもってます。

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ジェイ(ジル・スコット、ミュージックソウルチャイルドなどなど)
暴れん坊なベースとは裏腹に、とってもやさしい人。

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そしてトレ(フロエトリー、ジャスミン・サリバンなどなど)
バンド最年少であり16歳の時にはもうプロの現場の最前線で仕事をしていた天才ドラマー。
こんな素晴らしいメンバーと一緒に時間を過ごしました。

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僕に求められること。

フィラデルフィア1日目はバンドとNaoとのリハーサル。
2日目はBVも交えた全体リハーサル。
この場でどれだけ音楽のクオリティを高められるかが
自分の一番大きな責任であり、ここに来た最大の理由です。
Nao Yoshiokaと作った楽曲達を正しくミュージシャンに理解をしてもらい、
原曲の音楽性をしっかりと残しつつ彼らの能力を最大限に引き出して
ライブとして音楽をパワーアップし、Nao Yoshiokaにとって
最高のパフォーマンスにすること。

また彼らの音やプレーの理解をして、
当日のセッティングや音作りの参考にします。

音色のチョイス、テンポ感、曲の理解など、
プレーの隅々まで感じ取り、細かく指摘をしていかなければならないのですが、
これがとても神経を使う作業です。

音楽の表現は自由ではあるのですが、
Nao Yoshiokaの音とはこうあるべきという基準を
どの現場でもどの国でもある程度統一していく必要があります。

彼女の音楽のプロデューサーとして正解を示していく作業。

キャリアがある素晴らしいミュージシャン達ですし、
初めて会う人たちもいつつ、
コミュニケーションが十分に取れていない前提で
彼らの人間性やプレーを深く理解し、
空気を十分に読みながら阿吽の呼吸で物事を進めなければいけません。

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ミュージシャンでもなく、シンガーでもなく
その場で自分の表現をみせることのできない、
アジアから来た得体の知れないプロデューサーと名乗る僕が
ソウルの本場で第一線で活躍しているメンバー達に
音楽に対して意見をすること。

IT業界から音楽業界に入った過去の自分では
到底すぐにできることではありませんでした。

日本で素晴らしいキャリアのある最高のミュージシャンと仕事をすることは
ある意味、自分にとって最高の喜びであり恐怖でもありました。

アーティストやミュージシャンというのは
感覚が本当に優れており、
芸術を作り上げるために感覚を日々研ぎ澄ましている人たちです。

嘘はバレるし、自信がないことも、実力がないことも
簡単に見抜かれてしまいます。

芸術をつくる行為を下手したら邪魔してしまうかもしれない。
自然の摂理を僕が介在することで壊してしまうかもしれない。

そんな恐怖があったのです。

僕はこんな作業をここ数年やってきました。
失敗に失敗を重ねて、
コミュニケーションにおいて様々な学んできたことを
最大限に活かすことができたのです。

僕が学んだ極意。

実はとても単純で、とにかく真摯に接すること。
ビジョンを共有すること。
誰よりも音楽をよく聞き、隅々まで理解し把握しておくこと。
僕が彼らをケアし、仲間であることを一生懸命行動で見せること。
いろんなプライドや立場を忘れ、
音楽という最高の芸術を何の隔たりもなく感じ
意見を交換するためになにができるか
とにかく考えて行動すること。

よく考えてみると、ここに書いていある大半のことは
どんな人に接するときも大事なことだと気づきますよね。
コミュニケーションを重ねることにより、
どうだった?と意見さえ求めてくれるようになります。

人種、立場、言語、役割などを越えて
音楽のためにコミュニケーションが生まれる
最高の瞬間です。

こういった垣根を越えたコミュニケーションの連続が
音楽という奇跡を生むことにつながります。
Nao Yoshiokaのプレゼンテーションとして
正しい方向へと導くことができました。

 

リハーサル完結。

フィラデルフィアで2日間缶詰になり取り組んだリハーサル。

個人的にはもっともっと詰めて挑みたかったのですが、
アメリカツアーの過去の経緯から考えると、
最も長く濃密なリハーサルをすることができました。

映像チームもリアルな映像をこの特別な空間で捉えることができて大満足。
恐ろしいスケジュールでこの企画を実現してくれた、
プロデューサー井野さん、アシスタント谷脇さん、カメラマン印藤さんにほんとうに感謝です。

これは半分おまけですが、なんとサプライズで
フィリー出身のジャズミン・サリバンがスタジオに遊びに来てくれました。

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Naoはこの日、安心と満足でショーに向けて良い時間を過ごすことができました。

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フィラデルフィアからボルティモアへ

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当日は12時からの出演のため、前日入り。
フィラデルフィアからCapital Jazz Festが開催されるボルティモアへ南下。

バンドより一足先に出発してまずホテルに到着。
ホテルでまず出くわしたのはEn Vougue..
目の前をささっと歩いてきました。

ホテル到着からなんだかワクワク感が止まらず
荷物を部屋に置いてすぐに会場を下見に行きました。

 

ついにCapital Jazz Festの会場へ

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目の間に広がる巨大ステージ。
そして観客は地元のアフリカ系のオーディエンスでぱんぱん。
観客席には心地よい風が吹きます。

想像した何倍もの迫力。

僕もNaoも大好きなKINGがまずはパフォーマンス。
あっという間の20分。
そのあとはホテルのロビーで見かけた、
コッテコテの90年代音楽でEn Vogue。

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みてください。この写真は屋内ステージから出て、
その後ろの芝生部分に続く、広大なスデージ。。。

僕自身、正直とても興奮しましたし、吉岡くんも満面の笑み。
会場のオーディエンスの反応は僕たちの歓喜を最大にしてくれました。

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楽しみで仕方がない。

その後映像チームと一緒に入念に会場を確認して、ホテルに戻りました。

そしてついに当日が訪れます。

続きは次回に。

ちなみに本プロジェクトは映像化が決定しています!
ご興味ある方はこちらをご覧ください。
Nao Yoshioka US TOUR映像化プロジェクトの
クラウドファンディングは詳細はこちら

 

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