「The Light」プロデューサーズライナーノーツ 最終章

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ついに最終話。
みなさんにアルバムの秘話を公開するという目的もあったのですが、
前回のアルバムでおこった事をしっかりと自分の中で整理をしたいという事もあり、
これを最終話として発射させて頂こうとおもいます。

まずはおさらいです。

「The Light」プロデューサーズライナーノーツ 序章
 Nao Yoshiokaのデビュー。制作に至るまでの秘話

「The Light」プロデューサーズライナーノーツ その2
制作開始直後、コンセプトや制作の姿勢。
今回はより、具体的に音源制作の話などもふまえてお話しします。

「The Light」プロデューサーズライナーノーツ その3
アルバム楽曲の制作、コラボアーティストとの経緯やレコーディングなど
※ちょっと薄かったので後日オランダのレコーディング風景なども番外編で記載しようと思います。

それではいってみましょう。

 

Nao Yoshiokaの制作初体験

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制作をしていて僕が一番最初に感じた事は、
Nao Yoshioka自身の持つ音楽を聴く力が歌う力以上に
とても優れていた事。

ソウルを歌っている彼女ですが、めちゃくちゃ通なソウルミュージックマニアかというと
実はそうではありません。
「え!その曲知らないの?」という事が多々あるんですが、
そこには納得の理由があります。彼女は幅広く聞かない事の代わりに、
自分がコレだ!と感じ取った1曲にかける時間はとんでもない。

歌詞の一つ一つを感じ、数えきれないほどリピートをし、
シンガーやライターがどんな気持ちで歌っているのか書いているのか
というところまで深く深く突き詰めていきます。
この能力は彼女以上にできるひとは僕は知らないほどというレベルです。

そしてとにかくクオリティに対してストイックな事には助かりました。
いつも社内ではいやがられますが、ぼくも割と細かくストイックな方で
彼女もそうだった。

だからそういうところでとても制作がしやすかったんですね。
同じ基準を共有しながらとことん頑張れた。

彼女にとっても処女作であり、ぼくにとっても実質上
ここまで全て意見を出して、音楽的なことまで入っていく事はそこまでありませんでした。
気合いは十二分ほどありました。

制作時に苦労した事の一つ。
彼女の初期のライブのMCでもお気づきの方もいらっしゃったと思いますが、
彼女は言語で伝えることにおいてものすごい器用であるとは
当時は口が裂けても、とても言えませんでした。
彼女の意見を整理する事はひと苦労ではありましたが
その出てくる答えはとても適切で信頼出来るものでした。

頭の中で悩みに悩んで考え抜いて出てくる断片的な言葉には
とてもパワフルなものが多く、選ぶことのセンスに優れていたのです。

意見を引き出し、交換し纏めてコラボレーションするアーティストに共有し
入念にやり取りを繰り返しました。

日本でしっかりと温めて、乗り越えなければいけなかった壁は
オランダで明確になります。

 

殻を破る、オランダでおこった数々の奇跡

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オランダでのレコーディングの日々は本当に最高の経験となりました。
オランダが最高だったというのも事実かもしれませんが、
出逢った人が最高だったというのが正しい表現かもしれません。

僕もNaoも海外に行って本当に楽なのが、
立場を越えて最高のものを創造する仲間という共通意識を持てる事。
仕事、仕事してないのがとても制作には気持ち面でプラスの要素です。

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素晴らしい制作環境と雰囲気の中行われた、
オランダのレコーディングにおいて Naoが直面したブレークスルー。
それはなんだったのか。

Naoの性格からおこる、歌へのある種の癖、
以前の弱点とも言えることが浮き彫りになりました。

あまりにも完璧主義である事や
歌で評価されているという圧迫感から
レコーディングの事前に、練習に練習を重ね、
全く自由度のない状態でレコーディングに挑み
完璧な状態で常に練習したものを出していくことを 望んでいました。

この風景を見て、Shirmaがすぐに指摘をします。

「あなたの歌は怖さを払拭するために
完全武装しすぎていて、凝り固まってしまってる。
ミスしてもいいから、もっと自由に表現をしてみて。」

本人はこの完璧主義を克服するために、
レコーディング以前に、詞曲の提供を依頼していました。
それが「I’m Not Perfect」

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不完全なのだから、怖がらずに自由に歌って
怖さから解放される事を
この曲を通して、オランダで、体現したのです。

 

Nao Yoshiokaが与えてくれたもの
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こうして書いて来たライナーノーツですが、
そろそろ終盤に参ろうと思います。

御陰さまで、現在多くの人に賞讃を頂けるようになったNao Yoshioka、
いろんな方がそれぞれイメージをお持ちだとは思いますが、
僕の立場から見れば、彼女は決して器用な人間とは言えません。

思い立ってニューヨークに行ってしまうような
感性で体当たりをするタイプです。
とにかくその道筋などしっかり考えたりせず
直感的にゴールが見えた瞬間に無理矢理そこに準備もせずに
到達できるようにしようとします。

だから壁に打ち当たり、もがき苦しみます。
そんな姿をこの1年間見てきました。
ある意味本当に純粋なため、小作な技や
腹黒さなどを一切見せず、とにかく壁に真っ正面からぶちあたっていく不器用さ。
だから時にはリジェクトされてへこみ、それでも立上がるを繰りかえします。

でも実はその姿に近しい周りの人々は心打たれ
彼女のために何かしてあげたいとおもいます。
そしてとにかく歌に対して、表現に対して、仕事に対して常に真面目です。

実際そういう姿勢や心意気は僕たち音楽人すべてのひとが
志すべきことであり、僕自身彼女にアドバイスをしているとおもいきや、
実は日々彼女から学んでいるのです。
実際僕は彼女から学んだ事を毎週月曜日の朝礼で社員に話をしていたりします。

真面目に取り組む最高のパートナーであり、
まねは出来ないですが、お手本にしたいアーティストです。

内輪で非常に気持ち悪いかもしれませんが
いつもはふんぞり返って偉そうなレーベル社長をしていますので、
ここで言わせてください。

「Nao Yoshiokaさん、最後まで信じきってくれて本当にありがとう。
自信を持ってプロデューサーです!と言える自信はあなたがくれました。」

僕自身、彼女の御陰でひとつのいつわりなく
自分のやりたい事を全て注入したアルバムの制作を実現しました。

こう考えると、彼女から色々な事を学び、
僕たちは彼女の御陰で、本当にやりたかったことを着実に実現しているのです。
そう考えていくと、

彼女が僕にそしてシーンにくれたもの、それはまさに

THE LIGHT 希望の光

希望に満ち溢れる未来と可能性。

僕たちSWEET SOULにとっても
この音楽のシーンにとっても
音楽の本質を証明するためにはなくてはならない存在です。

アルバムに関して言えば、今こうして考えると、もっともっと詰められるところは
あったかもしれないけど
デビュー作と考えるとこれからのSWEET SOUL RECORDS
Nao Yoshiokaはもっともっと成長していけると確信しています。

今回のアルバムリリースは完璧!とは言えないかもしれませんが、

「いいものをちゃんと創れば、しっかり反応をしてくれる人はいっぱいいる。」

ということが確認出来たことが、僕はとにかく嬉しかった。

また確実に言える事。今録り直したら100倍いいものが出来ると思います。
それはこのアルバムを通しての成長、またその後に経験した様々な時間が
僕らSWEET SOULとNaoに成長をもたらしているためです。

自信を持っていいきりましょう。僕たちは世界を目指します。
そして3年後には今皆さんが想像できないような結果を出す事をお約束します。

 

最期に

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このブログを読んでくださったみなさんへのお願いです。
何回かお伝えしてる事かもしれませんが、
みなさまはお客様でいらっしゃいますが、それ以上に僕は仲間だと思っています。
※失礼に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
その場合はお詫び申し上げます。

Nao Yoshiokaを成功へと導く、
そしてこのシーンを創る仲間だと考えています。

僕はNao Yoshiokaを憧れの存在にしたい。

音楽業界がこれから低迷し、音楽を志す人が減り、
音楽を志す人をサポートする人も減り、
いずれは良い音楽はもっともっと少なくなるかもしれないとも
容易に想像できる、いまの状況から、

彼女が成功し、彼女に触発され、影響され
音楽を志すアーティスト達が次々にでてこられるように
彼女のような才能があるアーティストが
自由に表現をし成功をできるシーンを創るのは
皆さん一人一人のアクションではないでしょうか。

Nao Yoshiokaをきっかけに灯った
希望の光(The Light)をより大きく、
光溢れる音楽の時代に導くのは、
みなさんのお力だと信じています。

僕はそのお力を最大限に発揮頂けるように、
アーティストの為に、これからも
丹誠こめて役割を全うしようと思います。

長々と有り難うございました!

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