「The Truth」プロデューサーズライナーノーツ Vol.4
ミュージックマン・タイとのクリエイティブバトル

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みなさん明けましておめでとうございます。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

この内容の大半が去年のリリース直後に書かれたものなのですが、
どうしてもまとめきれず、ツアーに突入することになりました。
リリースしたばかりで自分自身整理しきれなかったということも
あったのかもしれません。

The Truthをリリースしてから、4ヶ月強がたちました。
ツアーも終えて、今は次の目標に向けて毎日を過ごしています。

引き続きThe Truthのストーリー、
時間がかかると思いますが、ここに綴ろうと思います。

The Truthライナーノーツ第4弾は、
今回のアルバムのリード曲にもなった
Naoとミュージックマン・タイとの共作
I Love Whenについて。

去年PVが公開されましたが、ご覧いただけたでしょうか。

それではミュージックマン・タイとのエピソードについて
少しお話をしようと思います。

ミュージックマン・タイとの出会いは
2015年10月のブルーノートニューヨークの公演にて。
NorthwaveのDJでありNY在住のDJ Naomiさんの
ご厚意で彼をショーへ招待してくれたことがきっかけです。

幸いなことに、Naoのことを彼は気に入ってくれたようで、
DJ Naomiさんの取材時には、スウィズ・ビーツの本拠地で知られる、
ジャングルシティスタジオという最もニューヨークで高価な
レコーディングスタジオでの収録を許可してくれました。

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彼はスウィズ・ビーツのプロテジェでありクルーの一人。
Nao関連の記事で、そこらじゅうで見てもうご存知だとは思いますが、
アリシア・キーズやスヌープ・ドッグに曲を提供する
売れっ子若手プロデューサーです。

アリシアとの制作の模様にTyが参加しており、
彼女にとても信頼されているのが一目瞭然です。

彼に会った時の最初の印象はとてもおしゃれで、
良い意味でメインストリーム感というか
スター感があってまぶしかったです笑
しかしとっても気さくで、ポジティブなバイヴを感じる
いつもにこにこして親切な”いいやつ”という印象でした。

Naomiさんの取材後には、昼食を食べたり、
夕食にも誘ってくれて、ハングしようぜ!!と言う感じで、
彼のお気に入りのお店でごちそうにもなりました。

その会話では、Naoは絶対すごいことになる。
俺にぜひプロデュースさせてくれよ!
こんな曲どうかな?これはどう?!と
鼻息荒く、彼の持つレパートリーから色々な曲を聞かせてくれました。

Naomiさんからはポジティブな噂を色々聞いてましたが、
若干メインストリームに寄りすぎているというか、
すごい売れ線な楽曲が多くて、
僕らがいつもやっている音楽とは系統が違う印象を受けたのも事実です。
それでもとにかく彼のポジティブなバイブや、ラブコールには好感を持てました。

制作へのラブコール

年明けくらいに、Naomiさんにアルバムを制作している
という話をすると、その直後に彼から連絡があり

「アルバム創るんだろ?プロデュースさせてくれよ!
オレはヒットメーカーだ!ネクストレベルに
お前らを連れてかせてくれ!」

という度重なるラブコール。
このタイミングでは僕自身は音楽性の違いから、
彼と仕事ができるかは懐疑的でした。

だからソフトに、

「是非一緒にやってみたいんだけど
今回作っているアルバムは君がやっていることとは
かなり遠いんだ。」

と伝えると。

「いや、そんなことはないよ。今までもいろんなトラックを作って来たんだ。」

という話で、トラックを色々送ってきてくれました。
送ってきてくれたトラックは良いものばかりだったのですが、
まだちょっと遠いなと感じていました。

しかし次第に僕のなかでこんな考えが思いつきます。

ヒットメーカーである彼のセンスと、
僕達の音楽性をうまく融合することができたら、
面白いことになるのではないだろうか。

そんなことを考えているうちに
ある日。Naomiさんからこんなことを言い渡されます。

「Naokiさん、彼はもう日本に行くそうです。」

「え?!契約も条件とかもまだ何にもきまってないですけど、、
しかも僕達ニューヨークに行くのですが、それじゃ遅いですか?」

「日本の空気をすってそのインスピレーションを受けて、
制作をしたいそうなんです、、」

急遽来日!そして、制作開始

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代官山LOOPのバックステージにて

そんなノリで気づいたら2週間後の
代官山LOOPのショーには
彼が後ろの方で、ライブを見ていました。

その行動力とノリは、
「やっぱり行ってみなきゃ、やってみなきゃわからない!」
というMake the Changeの精神を感じたところもあり、
とても好感を覚えました。

とにかく彼とNaoにとってできるだけ
良い環境を作らなければと考え、
彼らのために、制作環境を急遽オフィスにつくりました。

自分で持ってきたMACに
こちらが用意したキーボードやベースやギターを使い、
すごいスピードで彼が曲をつくっていきます。

「オレ、1日4曲くらいは完成できるんだ。」

と彼の大量のレパートリーをみせてくれます。


 

時代をしっかり捉えていて、わかりやすくて
もちろん音はかっこよくて、

多くの人が彼の音楽に魅了される理由がわかりました

そんな中、異なるジャンル、異なるシーンで活躍する
彼と最大限のせめぎあいをし、そして新しいものを創ることが
僕の狙いでした。

彼から出てくる様々なアイデアに対して、
こちらも負けじと色々と提案をし
コード進行から、ビートから全て細かく
彼と相談して、綿密に自分の頭にあるものを
具現化し、彼のクリエイティビティと自分のビジョンを
ぶつけ合います。


 

次々に出てくる彼の素晴らしいアイデアや柔軟性はまさに圧巻。
アメリカの第一線で活躍しているプロデューサーが
どれだけレベルが高いのか、肌で感じることができたのも、
今回のアルバムでの最高の経験のひとつとなりました。

もちろん時には、彼がやりたいことでもNoと
自分は言いますが、彼もなんとか個性をだしてくるために、
せめぎあいが起こります。

僕はNaoアルバム全体やNaoと一緒にやりたいことを突き通し、
彼はあまねく人々に音楽が響くように。
でも目指していることは良い音楽を作ること。

これを称して、僕は「クリエイティブバトル」と呼んでいます。
こんなエピソードを経てできあがったのがI Love Whenでした。


 

この曲ではNaoがメロディや歌詞を積極的にアイデアを出し、
ミュージックマン・タイがそれを見事に拾い上げカタチにするという、
素晴らしコラボレーションがおきました。

Tyも僕もそしてNaoもお互いの出したいところを出し切って、
クリエイティブで有意義なバトルによって生まれた曲です。

彼の音楽の能力だけでなく、とても思慮深く
思いを理解してくれるTyに感謝をしたことは
言うまでもありません。
レコーディング時の判断、作曲時のスピードに柔軟性と
一流中の一流でした。

彼に心から敬意と感謝の言葉を贈りたいと思います。
そして実現に向けて動いて下さったDJ Naomiさんにもお礼申し上げます。

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裏話、そしてロンドンへ

最後に裏話ですが、
実はハードスケジュールの疲れから、
後半戦になると彼は発熱やその他の症状で
2日ほど完全にダウン。
体調は絶不調。それでもスタジオにはなんとか
入ってしっかりと仕事をしていってくれました。
そういった彼のプロフェッショナリズムに感嘆しました。

彼が飛び立った後、全く同じ症状に見舞われたのは
そう、僕でした。

1週間後にロンドンへの出発を控え、
すごい発熱に見舞われた僕は週末の2日間
とにかく回復に向けて食事をし、睡眠を取り、
風邪薬をのみました。
なんとか週明けに熱は下がりましたが、
念のため病院に行ってみると、
熱がないから大丈夫だと思うけど
念のため検査しようと言われたその結果は、
まさかのインフルエンザ。

とにかくNaoにはうつらないように、
予防接種をすぐに受けてもらい、
ギリギリの回復でロンドン行きの飛行機に飛び乗ったのです。

2017年1月、インフルエンザや風邪が流行しておりますので、
みなさんもぜひご自愛ください!

それでは次回はロンドンでできたBeautiful Imperfectionsについての
エピソードを披露したいと思います。

[Nao Yoshioka Live 2017 -The Sound from Tokyo]

20161221 2017Sound of Tokyo FHD
代官山LOOP 2/12(木)
詳細はこちら→http://peatix.com/event/225613/view

[「The Truth」プロデューサーズライナーノーツ]

Vol.1 ボーダレスな感覚
Vol.2 The Beginning of A New Chapter
Vol. 3 カーリ・マティーンとの奇跡
Vol. 4 ミュージックマン・タイ・とのクリエイティブバトル

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mikki:The Truth Bounce記事転載
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