「The Truth」プロデューサーズライナーノーツ Vol.3
カーリ・マティーンとの奇跡

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このアルバム制作で一番の感動は、
彼とのコラボレーションだったと言っても
過言ではないかもしれません。

Khari Mateen。

出会ったのは2015年の3月。
サンディエゴに行った際に、
Tess Henleyのライブに行ったときのことでした。

彼女の『High Heels and Sneakers』というアルバムは、
ブログにも書いていますが、2013年の必聴盤。今でもよく聞く大好きな一枚です。
※ちなみにフィラデルフィアで制作されたアルバムで、Dai Miyazaki氏も参加。

いつかこのアルバムを作ったプロデューサーにあってみたいなと
思っていたところ、幸運にもこのサンディエゴにて
会うことができました。

以前からテスのマネージメントや
彼女本人ともコンタクトを取っていたので、
ライブ後に話をする機会をもらって、
Naoと僕そしてテスとカーリで
ゆっくりとお酒を交わすことになりました。

当日カーリは、彼女を友人として、
そしてアルバムのプロデューサーとして
ヘルプするために会場にきて
セッティングを手伝ったり
彼女の準備を親身に協力していました。
そういう動きを見てとても親近感を覚えたのも事実です。

その時はカーリのことをそこまでよく知らなかったんですが、
とにかくアルバム一枚創るのって本当に大変だよなー!
というプロデューサー談義に花が咲き
すごい盛り上がって、テスがフィラデルフィアで
カーリと制作した際の苦労話などを披露してくれました。

その場で好きな音楽の話をして、レーベルをやってることや
どんなスタンスで音楽に取り組んでるかも少し話しました。

当日テスの色々なこと手伝ってあげてたよね?ときくと
彼女のためだったら何でもやるんだ。とサラッと答えて、
自分のポリシーに近いところもあったのですが、
彼の純粋さみたいなところにとても好感を持ちました。

その後、約5ヶ月後には彼がCody Simpsonの
バンドメンバーとして、
サマーソニックに来るという知らせをもらいます。

幸運にもNaoの出演も決まっていました。
当日はアーティスト専用のラウンジにて再会して
色々談話をし、おまけにプリクラまでとる始末。

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彼とは縁を感じざるをえなかったのです。
その後も、Facebookで何度もくだらないことや
音楽のことで連絡を取り、距離はどんどんと縮まっていきました。

彼の創った音楽や僕がおすすめする音楽を交換したり、
音楽談義は続きます。

僕の彼に対する印象は「とても賢くて、純粋なやつだな」というもの。
音楽はとてもエッジーで、自由で芸術性の高いものばかり。
コマーシャルっ気が全くないサウンドが多いのです。

彼の音楽の捉え方に共感するものを感じました。
もちろんマルチインストラメンティスト、
特徴は弦楽器を自由に操ることで、
ライブではチェロを多用することも多いみたいです。
サウンドクラウドはサイケ感あるロックから、
エレクトロ、ソウルまで。
でも彼の個性がしっかりとどの曲にも感じられる
高いクリエイティビティを感じます。

https://soundcloud.com/khari-mateen

 

『The Truth』のアルバム構想を練った2016年の1月、
彼のことがまっさきに頭をよぎりました。
そして3月たまたまニューオリンズに行くことになりました。

彼がいるLAに行こう。

この時、僕はまだ彼に音楽制作を依頼する
ということを100%は決めていませんでした。
とにかく彼に会うことを目的に、LAに行くことにしたのです。

LAでの何気ない時間

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せっかくLAということなので、
東京、ニューヨークの仲間たちが、
LAにいるならこの人に会っておけ!と紹介してくれる人に会いに
到着後はあちこちへと移動しました。

Naoは心配したみたいで
「カーリと会わないんですか?」
と一日に何度も告げてきます。

実は渡米前に彼と制作をしてみたいんだと言う話は
Naoにはしていたのですが、果たしてNaoの音楽性に
フィットするかはまだわからない。
でも一番ワクワクする相手なんだ。
という風に告げていました。

なんとなく自然な流れで会いたかったというのもあって
Naoの度重なるプッシュをかわして
正しいタイミングで会うことをチョイスしました。

行く前は
「この時期LA行くけど、いる?」
「あー、いるぜ。会おうぜ。
まずオレの家においでよ、近くにモールもあるしさ」

くらいな乗りで、彼の家に向かいます。
ロサンゼルスでは有名なThe Groveのあたりの
彼のアパートに招かれました。
共同のキッチンなどがあり彼の部屋に通されます。

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小綺麗なワンルームに、ベッドと音楽制作ができる
簡易スタジオセッティング。

そこで近況を語り合いました。
彼の最近取り組んでいる作品を聞かせてくれたり、
自分が注目しているアーティストの楽曲をかけたり、
そんな時間を過ごす中、彼が僕達に言います。

「音楽一緒に作ろう!こうして時間を過ごして、
一緒にやらない理由はないよな」

Naoはニンマリとして、さぞかし

「ほら言ったでしょ!私は絶対こうなると思ってた」

という声が顔に書いてありました。
僕もNaoも心を踊らせてYesと言いました。
その後はアルバムの話を少しして、
彼の今まで制作した曲を聞かせてもらったのです。

「ネオソウルなら、エリカとかジルとかつくったよ。
この曲はおれ、ドラムも叩いてる」

彼のサウンドクラウドは一通り、聞いていたのですが、
まさかそんなメジャーなアーティストの仕事をしているとは
全く知らず、驚きを覚えました。

後々彼のプロフィールをよく見てみると、、
なんとグラミーノミニーであり、
エミー賞受賞作家。

本当に気さくで全く奢らない彼だから、
きっと僕はいい意味でそういった部分に
気づかなかったんだとおもいます。

一通り、楽曲制作の話で盛り上がって、
その後彼の家の近くのホテルの屋上で夕食に誘われ、
彼の友人も誘って皆で時間を共に過ごしました。

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ハリウッドのあの有名な岡に連なる住宅街をバックに
LAらしい開放的なホテルでのルーフトップのディナーのあとは
少し長い散歩を一緒にして、近辺のLA観光をし、
最後はLAで最も熱いというジャムセッションに。
楽しい時間は過ぎていきました。

「日本に帰る前にもう一回ぐらい会おうよ」

と約束してLAの滞在最終日、
ランチでもしようという話になり、
彼の家の近くのショッピングモールに一緒に出かけます。

ショッピングモールの大切な話

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彼とNaoと過ごす時間はなんだか心地よく、
嘘がなくとてもフラットで、仕事も忘れて
純粋にその時間を楽しむことができました。

ランチを共にし、その時話したこと。
きっと一生忘れないだろうなと思います。

そんな時間の中で音楽の話になりました。
君は音楽に何を求めるのかという深い話です。
僕は自分がなぜ音楽をしているのか、
なぜレーベルをしているのかを語りました。

アーティスト達を心からリスペクトしてることや
僕はリアルミュージックをやりたいということ。

アーティストが自由に表現し、
自分や人々に必要なメッセージ、音楽、
時代にあったインスピレーションを込めた、
自分に向き合って本当に表現を突き詰めたものを
世に広めていきたい。

本物を目指す人の力になりたい。

続けてNaoも彼に話します。
音楽をエンターテインするものと芸術に2つに分けるなら、
私は芸術を追求して、自分が感動して一番納得行くものを
これからも作っていきたい。

I wanna live for ART

カーリはそれに深く共感してくれました。
その話をした時、僕達の心は完全に繋がったのです。

bmr.jpの記事、末崎さんの素晴らしいアイデアで、
実現したインタビューですが、
彼もそのときのことを語っています。

http://bmr.jp/feature/166925

このインタビューを見ると、
音楽を創るときに必要なことが見えてきます。

「意味のある音楽には必要なプロセスなんだ」

と彼が語っていることに、とても納得できるのです。
意味のある音楽。自分が信じるものを真正面で捉えて、
不器用ながらも、それをカタチにしていきたいという
Naoのひたむきな思いが多くの人を巻き込んで行く
そんな光景を僕は目の当たりにしました。

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※The Groveのホットソース専門店にて

このアルバム制作における記憶に残る瞬間を経て、
ポジティブな思いと、制作へのワクワク感とともに、
僕たちは東京への帰路につきました。

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東京に帰った僕らは、新しい取り組みをするために、
準備していた、代官山LOOPでのライブと、
急遽来日が決まったミュージックマン・タイとの
制作が控えていたのです。

実際カーリと制作を始めたのはもっとあとのことでした。

続きはまた次回。

明日は札幌公演で皆さんとお会い出来ることを、
楽しみにしております!

[Nao Yoshioka The Truth Japan 2016]

札幌公演 11/2(水)
cube garden 011-623-5555
詳細はこちら→ http://bit.ly/2eqr36s

東京公演ツアーファイナル11/24(木)
赤坂BLITZ 0570-550-799
詳細はこちら→ http://bit.ly/2eqr36s

[「The Truth」プロデューサーズライナーノーツ]

Vol.1 ボーダレスな感覚
Vol.2 The Beginning of A New Chapter
Vol. 3カーリ・マティーンとの奇跡

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mikki:The Truth Bounce記事転載
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