Into the Light -Introducing Nao Yoshioka-  augment5 inc.との取り組み

現在ワシントンからボルティモアへ移動をしてきました。

昨日はワシントンから車で20分程度のアレクサンドリアにあるThe Birchmereにて
Jose Jamesのオープニングを終えたばかりです。

アメリカでのこといろいろ伝えたい事はあるのですが、
まずはかねてから暖めていた、この映像作品を紹介させてください。

Into the Light -Introducing Nao Yoshioka-

この映像は、Naoのデビュー以前からお付き合いをしていて、
The Light発売時にリリースしたSpend My Lifeのミュージックビデオを手がけて下さった、
日本が誇る世界のクリエイター集団augment5 inc.が
プロデュースしてくださいました。

もう2年も前になりますが、彼らのこの映像がネットで話題になり、
ちょうどミュージックビデオをどうするか考えていた僕にとって
衝撃的な映像でした。

こんな世界観で、あたかもその場にいるような空気がすごい伝わる映像を撮れる、
会社は正直日本では見たことありませんでした。

ありきたりなミュージックビデオではなく
海外にも通用するような世界観、情景の美しさ、空気感を表現できる
会社をちょうど探しいたのですが、なかなか見つからず苦労をしてたころだったのです。

すぐに会社名を調べ、代表の方の名前を検索し、井野さんだとわかりました。
augment5社はなんと代々木上原にあって、事務所も近く。
さらにうちのスタジオのデータベースを調べると、
一度利用もしてくれたことがあったのです。
ますます興味はわき、、

絶対に彼らにお願いしたい!

という思いは絶頂になりました。
とりあえずfacebookで誰とつながってるか見てみると、
やはり共有の知り合いがいて、まずはその友人からアプローチしました。
彼のおかげでなんなく、連絡が取れたと思ったのですが、
なんと電話はつながったのですが、

今ケニアにいるから、もどったら話しましょう。

ということだったんです。
帰国後に早速打合せをしました。
安定のファイヤーキングカフェ。

最初の印象は、

「あーこれ作ってもらえないだろうな。」

ぼくの勝手な推測ですが、話題になった動画を見て、
この手の問合せはくさるほどあったのでしょう。
そんな中、友人の紹介という小作な手を使った自分は、
なんとかあってもらえることができたのですが、、

映像会社にとって音楽系の案件はメジャー以外は鬼門です。
音楽業界はどこも予算がなく、それなのに作るは大変。

飛ぶ鳥を落とす彼らにには、一見のわけもよくわからない
インディの音楽レーベルと取り組むことは
何のメリットもなかったでしょう。

しかし、少しだけでも僕達のやってること、
考えてること、成し遂げたいこと伝えられるように
熱を込めて伝えたところ、少しずつ可能性は見えてきました。
そしてそのタイミングで僕はアーティストパワーを借りるべく、
その場で電話でNaoを呼び出します。

漸く最後には興味を持っていただけることができました。
そして制作されたのがSpend My Lifeのミュージックビデオ。

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Facebookには書いたと思うのですが、
ぼくはこの制作を通してとても大切なものを学びました。

そしてご本人はこんなふうに言ったら嫌がるかもしれませんが、
井野さんを心から尊敬しました。天才肌。
そんな言葉が似合う井野さんです。
そしておなじ世代で世界を目指している貴重な仲間でもあります。

尊敬した理由は、ものづくりへの心意気、愛情、犠牲、
多くの大事なものを僕は学ばせていただいたのです。

いいモノを作る人達には共通の性質があるのです。
そして彼らの作品がなぜそこまで人に響いたかも
とても納得がいったのです。

僕はその端くれにもならないかもしれないですが、
The Lightの制作で学んだこと、
それはとにかくいいモノを作ることだけをとことん最初に考えること。
予算の制約やその他いろいろな制約の中で作らなければいけないのは
あるのですが、制約を前提で作るのではなく、
いいモノを作るための最高の手順をまずは考えたうえで、
制約を越えてしまうようなアイデアや方法論を見出し、
いいモノをつくることありきですべてを考えていくこと。

この共通点は僕が付き合っているアメリカの音楽家たちに
とても多いような気がします。
それは気質的なものもあって、僕が知り得るアメリカの人の場合
金銭面やスケジュールが全部がざっくりではある代わりに、
とにかくいいモノに対してはストイックに創る。

Risingの制作はまさにそうだったのですが、
Brian Owensなど、納期や時間などもちろんある程度は
考えてくれますが、

「Naoki、これじゃいいものはできない、なんとかしてくれ」

という言葉を何度聞いたかわかりません笑
いいモノをつくるためには絶対妥協せずに、
自分の時間の犠牲などは気にせずに、とにかくそれを目指す。
The Lightの制作前、
僕は制作において前職の関係から
一つの癖になっていることがありました。

それはクライアントワーク。受託業。
お客さんの要望に合わせ、予算などを前程に
会社という決められた枠の中で
かっちりと物事を決めて、納品を目指す。
もちろんその予算内でいいモノをつくるということは
考えるのですが、もうとにかく最高のものが
どうやったらできるかという根本的なものづくりの姿勢というは
学べなかったような気がします。

提案はしてみるものの、
組織という性質上、”ある程度”のものを求めているので、
多くの個が犠牲を払ってまで、ハードワークをし、リスクを取る必要は
なくなってしまうのかもしれません。

お金があれば、時間があればもっとすごいもの作れるのにな
というモヤモヤみたいなものはいつも思っていたんですが、
実際、お金や時間がなくてもすごいモノを作ろうとする姿勢や
考えが足りなかったんだなと今では気づきます。

いいモノが生まれる瞬間は、チーム一人ひとりが主体的に
誰かのためではなく、自分のために動いていること。
そういう環境をつくりだせるのが優れたリーダーであり、
いうのは簡単ですが、なかなか実践されていることは少ないのです。

こういった癖が全く無い状態で

最高のモノづくりを当たり前にできるのが彼らであり、
前述した映像も、誰かに頼まれたのではなく、
自分たちが主体となって震災直後、
日本の魅力をどうにか見せたいということで、
自主的に作ったとたしか言っていたような気がします。

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※トシヤさん、写真お借りいたしました!(京都にて)前から2番目が井野さんです。

augment5社と一緒に制作をして、
僕が印象的だったのはプロデューサーである井野さんが、
ディレクターの鈴木さんに常に最高の制作を環境をつくることを心がけていること。
前述したとおりプロデューサーの僕が
ブライアンになんとかしてくれ!と言われて奮起して
とにかく何とかするために頑張りましたが、
井野さんはそんなこと言われる前に、そういった環境を先回りして
ディレクターさんに与えられるような人です。

またとても尊敬していることが、
社長であり、プロデューサーである井野さんが現場の
インスピレーションをとても大事にしていること。

海外を飛び回って、とんでもないスケジュールの中でも、
僕達のような小さな案件でも、現場に立ってくださるのです。
※きっと現場が好きなんだとは思います笑

ビジネスを考えれば、従来は社長が現場になるべく出向かないことや
ハンズオンしてかないことが成功に繋がると考えがちですが、
もしかしたら、芸術に近いビジネスにおいてはそれは覆るかもしれません。
現代の最も成功した経営者の一人と呼ばれるスティーブ・ジョブズは
とにかくハンズオンだったともいます。

彼はぼくの回りにいる経営者のなかで最も優れた芸術的な感覚と
ビジネスのセンスに優れた人の一人だとおもいます。
augment5社のNaoへの心意気と、愛情と犠牲に心から敬意を表したいと思います。

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さて今回のこの動画のコンセプトはInto the Light。
みなさんにはブログで丁度Nao Yoshiokaのアルバム最新作
Risingのライナーノーツをすこしずつ公開していますが、
このInto the LightはThe Light(かすかな光)から
まばゆいくらいに輝き出すRisingまでを
垣間見ていただけるショートドキュメンタリーです。

僕が込めたかったメッセージは、
もちろんNaoを多くの人に深く知ってほしい、
という思いもあったのですが、僕が考えていた根本は、

音楽を志す人々に、世界を目指すという道があることをつたえたい。

ということ。そしてそれを支える仕事も最高に魅力的であること。
Naoが単身でアメリカに渡るという、
部分はもちろん彼女だから出来たことではあると思います。
ただしその姿勢である

「自らを突き動かし、新しい一歩を踏み出すこと」

きっと誰ににもできるチャンスはあるはず。そんな小さい一歩の積み重ねが、
大きな変革へと変わるのだと、僕は信じています。

アメリカでの滞在もあと数日。
また成長した、Nao Yoshiokaをぜひ10月6日に再開する
Rising Japan Tour 2015にぜひお越しください!

http://www.sweetsoulrecords.com/rjt

 

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