10年の時を経て Frank McCombとの再会で気づいたこと

Frank Mccomb

先週日曜日6/28はHMVさんがあるイオンモール浦和美園店で、
ヨシオカ君のライブを見て、
久しぶりに東京は丸の内のTokia内にあるコットンクラブへ。

Frank McCombの今回の来日ファイナルショー。

何を隠そう、わたくし実は彼の大ファンなのです。

ネオソウルという音楽に深くはまっていったのはある意味彼がきっかけであり、
僕がこのSWEET SOUL RECORDSを始める一つのきっかけと言っても
大げさではないと思います。

皆さんの、ザ・男性ネオソウルアーティストといえば
今年のサマソニで来日する”ディアンジェロ”
という方もたくさんいらっしゃると思うのですが、
自分にとっては彼が一番影響を受けたネオソウルのアーティスト。

ネオソウルにもいろんな方向性があるとおもうのですが、
自分の場合はJazzyでコンテンポラリーなアプローチを屈指する、
フランクや初期レディシなどが大好物で、
全盛期の頃はせっせとライブに足を運んでいました。

一番好きなアーティストや作品はなんですか?
と言われたら間違いなく彼の作品を今まで話してきているのです。

自分にとって音楽を聞いて歌詞と音楽がものすごい融合して
音楽のちからを体全身で感じたのが、彼のセカンド・アルバムの
Action Speak Louder than Wordsという曲でした。

最近、SWEET SOUL RECORDSからリリースしている
Hyleen GillやBrandon Williamsのアルバムへ参加しているため
彼の名前はちらちらとは見ていましたが、
正直ここ数年チェックを怠っていました。

音楽の仕事をしている方は特に、なかなか自分からライブに
出向くことが少なくなったり、過去に愛したアーティストのチェックが
おろそかになることもあるのではないかと思います。

僕の場合は、過去に比べてショーを仕事としてみてしまったり、
良くないライブを見ると、そのエネルギーを
そのまま持ち帰ってしまうことがあり、
あまりライブには積極的に行かないようにしていました。

しかし今回は導かれるように、彼のショーへ。

過去を遡ると、実は丁度10年前、社会人になって間もない
ながらも初めてコットンクラブへ来ていました。
その時が僕にとっての初のFrank McCombのライブで、
憧れの彼のプレーをついに目撃することができたのです。

学生時代から最も好きなアーティストでしたので、その興奮はすごいものでした。
大変恥ずかしいですが、学生時代に書いていたブログをご覧いただければ
その熱狂っぷりは薄っぺらい記事ながらも、非常によく伝わると思います。

正直、彼の音楽がなければ僕はレーベルなんてやってなかったかもしれない。
彼の音楽が僕の音楽に関わるキャリアの大きなインパクトには間違いないのです。
今は亡き、下北沢のとある店舗の素晴らしい洋楽コーナーで
出会った彼のアルバム。もしこの出会いがなかったら、
いったいどうなっていたんだろうか、、とさえ思います。

彼は本当に気さくなアーティストでMCからも
名前の通り、フランクなやつ?な印象を受けます。
ライブも英語でぼそぼそ話したり、突然ガハハハーと笑ったり、
マイク通さないでとにかくマイペースで、百戦錬磨のライブを経て
完全に確立された彼のスタイルがあります。

今回の当日も10年前と同様、突然まず一人で現れ、
ティーカップを片手に突然プレーを始め、
一瞬で彼のライブの空気へ。

セットリストなどについてはライブ評など詳しい方にお任せして、
とにかくみなさんに見てほしいと思える、
世界屈指の超一流の音楽がそこにはありました。

一切手抜きをしない彼の音楽に対する姿勢、
とことん音楽を楽しみ、そして自ら感じて表現するプレー、
オーディエンスを楽しませる心遣いが
全く変わらず伝わってくる。

僕がそこで感じたことは、10年前と一緒だったのです。

というのは音楽の仕事をして、いろいろ耳が肥えたり、
成長もあったとは思うのですが、

やはり最高のものは、いつ聴いても最高。
本物は変わらず、10年たっても本物である。

彼がインデペンデントのアーティストとして、
そのスタンスを貫き通したからこそ、
見せてくれた芯の強い音楽性とプレイ。

そしてとても嬉しかったことは

自分が信じた音楽は正しかった
彼が10年前に僕に本物を見せてくれたおかげで、
そのスタンダードは決してぶれなかったんだな

と感じることができたことです。

そう、こんなエピソードがありました。
2006年、ショーが終了し、彼がフロアでうろうろしているところで、
僕は思い切って挨拶に行きました。

そこで彼に伝えたのです。

「フランク、君は僕の一番好きなアーティストだ」
「こういった素晴らしい音楽を広めるためにレーベルを作ろうと思う。」
「その時は協力してくれるかい?」

彼のことですので、もちろん

「いいよ、連絡くれ!」

だったのです。

その後当時流行っていたMy Spaceを経由して、
来る際には連絡をくれたり、こっちからしたり、
曲をリクエストすると必ずプレイしてくれました。

音楽の仕事にどっぷり浸かってからは、
疎遠になり、すっかりライブに行くこと自体が少なくなってしまったのですが、
今日は再会し、彼に伝えました。

「フランク、僕は10年前もここに来てこういったんだ。君は僕の憧れで
最高のアーティストだ。」

「君の音楽が僕の音楽を志す動機になっている。
そして僕のレーベルを作ったきっかけは、君の影響が大きいんだ」

偶然居合わせた共有の友人のおかげでとても話は盛り上がり、、、
今後何か一緒にできるかもしれません。

実際今回ライブに行くことになった一つのきっかけは、
彼が日本に来る前に行ったオランダツアーを共にした
ベーシストのグレン。彼はSSRからリリースをしている
レベッカ・リンのプロデューサーでもあります。

ショーのあと、彼と話したところ
2年前にNaoがオランダ滞在時に
ノースシージャズフェスティバルのアフターパーティで
マイクを取ったNaoを覚えていたそうです。

 

良い音楽は普遍的である。
いつ聞いてもフレッシュである。
色褪せない音楽。時代によって揺らがない、流行りに流されない
スタンダードを重んじながらも、すこしずつ進化をしている
アーティストの真意を語った音楽。
それが僕にとってのリアルミュージック。

年月が経ったことによって、音楽を通して人が繋がって、
またひとつなにか新しい扉が開いたような気がしました。

今週はフランクの全アルバム、ヘビーローテーションです。

余談ですが、やはりコットンクラブが一番いい音ではないかと思います。

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